リーダーの言霊
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HOME > リーダの言霊 > 第6回 リーダーの言霊 インテリアデザイナー藤原敬介(2)
インテリアデザイナー藤原敬介

松山 具体的に藤原さんの理念が、デザインとして具現化した作品はありますか?

藤原敬介デザイン・チェア藤原 これは(右写真)、毎年イタリアのミラノで行われるデザインの世界的祭典である「ミラノサローネ」に出展したもので、海外の人たちに好評でした。

 ある人の依頼でデザインした椅子を作品化したものです。この金属は、チタニウムです。なぜチタニウムにしたかというと、チタニウムは医療の分野でも使われ、体内に埋め込まれこともあり、人間と融合できる数少ない金属だからです。一般的に椅子は木材ですから、木にすれば何ら問題はありません。でもそれでは、「未来の希望」を示唆する作品にはなりません。

 デザインとしての造形美を追究することはもちろんですが、どんな素材を選択するかによってコンセプトを明確にし、そこにメッセージをこめることができます。

 このデザインは「人の未来」を考えてこそ生まれたものであり、それは挑戦であり、実験的な行為です。こうしたよりよい未来をつくるために挑戦する姿勢こそが、私たちをクリエイティブにしてくれるのだと思います。

 

松山 なるほど。新たなことに挑戦していく、実験的なことをしていく、それが、創造性を高めていくということですね。

藤原敬介デザイン「第二東名 刈谷インター」藤原 そうだと思います。デザインとビジネスの関係はくされ縁です。でも、クライアントから言われたことを、言われた通りにしているだけでは、進化がありません。

 第二東名にある刈谷インターの空間デザイン(左写真)を手がけた時には、新しい建材の開発に挑みました。

 今は、石や木そっくりの本物と見間違うような建材がたくさんあります。その技術の高さには目を見張ります。ですが、偽物は偽物なのです。ならば、その偽物をつくりあげる技術の高さを強みとして、逆に活かせないのかと考えました。

 そこで、「金属と木」を融合させる独特の風合いのある建材開発に挑戦したのです。これは天井や壁につかわれました。

 この建材に似たシリーズは、現在、メーカーのカタログに掲載され商品として流通しています。私がコストを優先して、既成の建材で済ませ、実験的な試みに挑戦をしなかったら、この建材は生まれなかったわけです。

 未来へ何かを橋渡しするといいますか、前の時代からきたものをしっかり受けとって、それを新たなものにして、次の時代へ繋いでいく、そんな理念をもつことが大事であり、創造性と深く関わっているのだと私は思います。

松山 私たちがクリエイティブであるためには、まず「理念」をしっかりともつことが大事だということですね。理念をもって藤原さんは様々なプロジェクトに関わってこられたわけですが、そこには様々な人がいて、相性の合わない人もいるでしょうし、意見の対立もあると思います。プロジェクトを推進していくうえで、どんなことを大切にされていますか?

インテリアデザイナー藤原敬介藤原 デザイナーにとって、クライアントの存在はとても大きいものです。デザインのこと、コストのこと、様々な要望があります。その要望がもちろん正しいこともありますが、私からみて明らかに間違っていると感じる時もあります。

 そんな時には、クライアントだからといって安易にその要望を受け入れることはせず、もっと問題の本質的な部分を見極めて別の提案をするようにしています。

 クライアントのニーズにこたえることが仕事ですが、ニーズにこたえることの度が過ぎていると、結局、デザインが死んだものになってしまいます。デザイナーが「違うのではないか」と感じながら、クラインの要望どおりにすることは、その時は互いに満足しているようで、いざモノができあがってみるとよくないのです。

 ですから、プロジェクトを進めながら、自分なりの考えをもち、クライアントが見落としている価値や忘れている可能性に気づかせてあげることが大事なのだと思います。

 

松山 藤原さんでも、クライアントとの人間関係で葛藤することはあるわけですね。

藤原 それはもちろんあります。あわない人もいますし、正直いえば、「そんなこと言われるのなら、もういいかな」と投げだしそうになることもあります。ただ、20年以上、この仕事をしてきてわかったことは、そうした時こそ「気持ちを切らせない」ことが大事だということです。 

 

松山 「気持ちを切らせない」ですか?

藤原 そうです。「気持ちを切らせない」というのは、仕事をあきらない、投げ出さないということです。無理な要望がきた時に、「そんなことできませんよ」と、拒絶することは簡単です。クライアントとの関係を切ってしまえば、楽になれます。

 でも、私の経験では「そんなの無理ですよ」という難しい状況の時に、悪あがきをするといいますか、楽なほうではなく、苦しいほうを選んで、なんとかしようとした時に、新たな発想が生まれることが多いのです。 〈next page



藤原敬介デザイン事務所 フェイスブック・ページ

藤原敬介デザイン事務所フェイスブック・ページ

 これまで手がけたデザイン空間や世界のデザイン祭典に発表してきた作品をアップしている。プロのカメラマンによって撮影された美しい空間やプロダクト・デザインの数々は、見ているだけで美的感覚が刺激され、楽しい。


『インテリアデザイン 美しさを呼び覚ます思考と試行』(藤原啓介 丸善出版)表紙画像〈藤原敬介著作〉

『インテリアデザイン 美しさを呼び覚ます思考と試行』(藤原敬介 丸善出版)

 ファニチャー・デザイン、商業空間デザインなど自身が手掛けた仕事のプロセスを振り返りデザインが生まれるための「思考と試行」について詳述した書。デザインを形や色だけに留めず、社会に対する挑戦とも捉えらえるような藤原氏のデザインに対する深い哲学が伝わってくる。


『Keisuke Fujiwara: Interior Elements for Space and Product Design』〈藤原敬介作品集〉

『Keisuke Fujiwara: Interior Elements for Space and Product Design』

 オランダのインテリアデザイン専門の出版社「Frame」からの作品集。空間やファニチャーなどデザインに込めた想いを写真とともに解説。(英語表記)




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