リーダーの言霊
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HOME > リーダの言霊 > 第6回 リーダーの言霊 インテリアデザイナー藤原敬介(3)
インテリアデザイナー藤原敬介

ラジューン(お台場)松山 具体的にどんなことがありますか?

藤原 これは(右写真)、ある化粧品ブランドのためにお台場につくった店舗です。
 ブランド・コンセプトを具現化することができ、クライアントさんにも喜ばれ、自分としても満足のいくものでした。ところが2号店を出す時に、「予算は半分しか出せないけど、ぜひ、やってほしい」という依頼がきたのです。

ラジューン(赤坂) 1割カット、2割カットならわかるのですが、半分というのはありえない数字です。この時、なんとかコストを抑えるために、メラニン化粧板という非常に安価な素材を建材として多用しました(左写真)。

 最初の店舗のようにはいきませんでしたが、メラニン化粧板を使うことが功を奏して、また違ったデザインをすることができ、クライアントにも喜ばれましたし、自分なりにも新たな発見があったのです。

 

松山 「迷った時は、難しいほうを選べ」とは、よくいいますね。

藤原 ホントにその通りだと思います。ですから、クリエイティビティというのは、自分にとって心地よい状況で高まる場合もありますが、厳しい制約条件がついて、難しい状況、苦しい時にこそ、逆に高まるものでもあると思います。これは、プロジェクトを進めていくうえで、忘れたくないことですし、自分を支えてくれる考え方です。

 

松山 いろいろなプロジェクトに参画されてきたわけですが、藤原さんは、ドラマ(フジテレビ『月の恋人』)のデザイン監修もされた経験があります。現場の雰囲気など、何か感じたことはありますか?

藤原 商業施設ができあがっていく現場でも、スケジュールに追われてピリピリすることもありますが、テレビの現場はもっとすごいですね。怒声が飛び交っていて、いざ、カメラが回り俳優さんたちが演技を始めると、シーンとなるんです。厳しい世界だと感じましたし、それゆえ、誰もが強いプロ意識をもっているのだと感じました。

 

松山 ドラマに登場する主人公がデザインする椅子は、藤原さんのデザインだとか・・・。

藤原 ドラマに登場するこの椅子(右写真)は、私がデザインしたものです。 とにかくデザインする時間がなかったことを鮮明に覚えています。ドラマの脚本に目を通しながら、演じる方々と椅子の関わりをイメージし、そして持ちやすさ、軽さなどを最優先しながらデザインを進めました。

ドラマ「月の恋人」のためにデザインした椅子

 

松山 その他のドラマでもデザイン監修をされたこともあるとのことで、商業施設のデザインの枠を飛び越えて活躍されていますが、現在は、大学で教鞭を執ってもいます。ビジネスリーダーたちは日々、部下を指導するのに懸命になっています。学生を指導するうえで大切にしていることは、どんなことでしょう?

藤原 それは、学生たちに、これまでとは真逆のことを教えることです。

松山 真逆ですか?

 

 
藤原
 大学にくるまでの教育は、「答えがひとつ」あるものがほとんどです。受験でよくある穴埋め式がその典型です。でも、デザインには答えが無限にあるのです。ひとつの正解がないのです。何が正解なのかは決まっていなくて、誰かが決めてくれるのでもなく、自分で決めていかなくてはなりません。
 丸がいいのか、三角がいいのか、四角がいいのか、それを自分で決めて、もし、丸を選んだのなら、どうして丸にしたのか、その理由を考えて、人に伝えなくてはいけない。
 頭がよくて高校で優秀だった子が、この点でつまずくことが多いのです。だから、指導するうえで気をつけているのは、とにかく「正解を自分で決める力」をつけてもらうことです。

松山 正解を自分で決める力は、社会に出てからも必要とされるものですね。

藤原&松山藤原 学生たちはやがて社会に出ていかなければいけません。ですから、「生きる力」を身につけてもらいたいと常々思っています。問題を突破してくタフさ、粘り強さです。デザイナーとして一流になるかどうかは、才能もありますが、この「生きる力」が重要なのです。

 他の教授はどうかしりませんが、授業に1分でも遅刻するのなら、必ず連絡を入れなさいといっています。帽子も、私と話す時には「とりなさい」と厳しくいいます。メールの書き方がなってない時には、指導します。社会的な常識を身につけておくことが、社会に出たらとても大切ですよね。

 デザイン力がどれだけ優秀でも、人としてダメだったらダメなのです。もちろん、デザインの授業はあって、デザインについて指導します。でも、私が大切にしているのは、デザイナーである前に「人間としてどうなのか」という本質の部分です。

 とかく「最近の若者は」と、学生たちは批判の的になりますが、若者論はいつの時代でも批判めいたものです。私は今の学生とつきあっていて悲観はまったくしていません。優れたクリエイティビティをもった学生も多く、私も負けていられないなと刺激を受ける日々です。

 そんな風に、指導する人間が、教え子たちをポジティブにみてあげることも指導者として、とても大事なことだと思います。

松山 本当にそうですね。ポジティブな人間観をもつことは、リーダーにとって、とても重要なことだと思います。それでは、最後、今を生きるリーダーたちへ何かメッセージをお願いできますでしょうか。

藤原 リーダーたちは、次の世代を生きる人々が、私たちと同じ苦しみや悲しみを味わないようにクリエイティブであるべきだと思います。私はデザインを通してですが、それぞれの立場において、次の世代のことを考え、理念をもって行動していけば誰もが創造的になれると思います。

 未来へ希望を届けるためにお互い、がんばっていきましょう!

 

(インタビュー 2013年8月21日 藤原敬介デザイン事務所にて) 


藤原敬介デザイン事務所 フェイスブック・ページ

藤原敬介デザイン事務所フェイスブック・ページ

 これまで手がけたデザイン空間や世界のデザイン祭典に発表してきた作品をアップしている。プロのカメラマンによって撮影された美しい空間やプロダクト・デザインの数々は、見ているだけで美的感覚が刺激され、楽しい。


『インテリアデザイン 美しさを呼び覚ます思考と試行』(藤原啓介 丸善出版)表紙画像〈藤原敬介著作〉

『インテリアデザイン 美しさを呼び覚ます思考と試行』(藤原敬介 丸善出版)

 ファニチャー・デザイン、商業空間デザインなど自身が手掛けた仕事のプロセスを振り返りデザインが生まれるための「思考と試行」について詳述した書。デザインを形や色だけに留めず、社会に対する挑戦とも捉えらえるような藤原氏のデザインに対する深い哲学が伝わってくる。


『Keisuke Fujiwara: Interior Elements for Space and Product Design』〈藤原敬介作品集〉

『Keisuke Fujiwara: Interior Elements for Space and Product Design』

 オランダのインテリアデザイン専門の出版社「Frame」からの作品集。空間やファニチャーなどデザインに込めた想いを写真とともに解説。(英語表記)




 

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