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稲盛和夫の名言に学ぶ「善の力」

稲盛和夫の名言に学ぶ「善の力」

リーダーは「未来の善行」を見据えて動く。

 中国の古典『菜根譚』に、こんな言葉があります。

善を為すもその益を見ざるは、
草裡(そうり)の東瓜(とうか)のごとし

 京セラ創業者稲盛和夫氏は、『生き方』(稲盛和夫 サンマーク出版)の中で、上の言葉を紹介し、こう書いています。

稲盛和夫
稲盛和夫

「善行をしても、その報いが現れないのは、草むらの中の瓜のようなものである。それは人の目に見えなくても、おのずと立派に成長しているものなのです。」

『生き方』(稲盛和夫 サンマーク出版)p218

 社会や組織にあって「善行」をしても、必ず、評価されたり成果が出るわけではありません。

 なぜなら、組織には、一度決めて始めたことは、できるだけ継続させようとする「慣性の法則」が働いているからです。

 古い習慣に縛られたまま、非効率なことが温存されていても、「それが無駄で非効率だ」と知りながら、組織は慣れたことを優先し、続けるのです。


「今の悪行」が「未来の善行」になる

 「1万円以上の経費を使う時には、事前に上司に申請して判子がいる」とか、「役員の承認がないと1泊以上の出張に出られない」とか、「誰もが、それおかしいでし」と思っていても、「じゃあ、誰がその非効率な慣行を変えるの?」となると、見て見ぬふりになります。

 IT(情報技術)がビジネススタイルを一変させ、「AI」(人口知能)の本格的な活用が始まる時代になっても、「判子が押されてないので決済できない」という「判子主義」の組織は、大手企業でも根強く存在しています。

 一方で、ITを早くから導入した組織では、1990年代後半頃から電子決済が当たり前になっていて、「まだ判子なんか押してるの?」と、不思議がっています。

まっつん
まっつん

 「判子主義」の組織において、判子を無くすコトは、将来的には「善」です。ただ、変革によって組織の制度や慣行を変える「未来の善」は、「現在の悪」と判断されがちです。「悪」ですので「無理して変えることないだろ」「バカなことするな」と批判されますし、足も引っ張られます。

 でも、「未来の善行」を見据えて、その実現に動くことがリーダーシップであり、リーダーが組織で果たす大きな役割です。


リーダーシップは未来に焦点をあわせる

 「リーダーシップ」と「マネジメント」の違いが、経営学ではよく語られます。下の表は、「リーダーシップとマネジメント相違点」を表にしたものです。詳しくは、『リーダーシップとマネジメントの違いとは』で述べていますので、参考になさってください。

リーダーシップとマネジメントの相違点の表

 さて、先ほど述べました通り、組織にあってリーダーは、「未来の善行」を見据えて、その実現に動いていきます。上の表で「ⅱ視点」に関わるものです。

リーダーシップとマネジメント相違点

・リーダーシップは、未来(ビジョン)に目を向け、行動していくこと。
・マネジメントは、今(プラン)に目を向け、管理していくこと。

まっつん
まっつん

 IT(情報技術)、スマホ、AI(人口知能)、電子マネーなどなど、私たちのライフ・スタイル、ビジネス・スタイルを根底からくつがえす技術が普及していく時、その勢いをとめることは誰にもできません。

 一度、動き出した「時代の流れ」は、非情にも古いものを押し流し進む続けるのが世の常です。「時代の流れ」に抵抗することは、時代の荒波に飲み込まれる「組織の衰退」「組織の死」を意味します。

 ですから、批判されながらでも、1年後、3年後、5年後の「未来からの視点」で「今、何をすべきか」を考え、「未来の善」を「今の善」に変えていく勇気あるリーダーシップが求められるのです。


大善は非情に似たり、小善は大悪に似たり

 将来的な「善」が、どれだけ「善」であっても、組織変革の現場には抵抗勢力が現れます。「あなたのやろうとしていることはおかしい」「それでは私の立場がないじゃないか」「時期尚早だ、早まるな」と批判され、時にはまるで「罪人扱い」のような処遇を受けることすらあります。

リーダーは時に非情な決断をする

 それらの批判を受けつつも、「変えるべきは変える」という時には非情な判断と実行力が、結果的には「未来の善」を「今に」実現することになります。稲盛氏に、こんな言葉があります。

稲盛和夫
稲盛和夫

「長い目で見れば、目標を課し、規律をもって鍛える厳しい上司によって、部下ははるかに伸びていくのです。

「大善は非情に似たり、小善は大悪に似たり」という言葉があります。小善をもって部下を導いていくリーダーは、つかの間の名声や成功しか手にすることはできないのです」

『成功への情熱』(稲盛和夫 PHP研究所)

 リーダーは辛いものです。上の言葉は部下育成に関することですが、組織をよりよくするマネジメント・リーダーシップを発揮する時にも当てはまる言葉です。

「あの人には情がない」
「人を思いやれないひどい人だ」
「まったく何もわかっていない」

 そう悪口・陰口を言われながらでも、将来的な「大きな善」のために行動していくのがリーダーというものです。 


リーダーは「善」を積み重ねていく。

 「善」の代表的な行いは「利他の精神」で「世のため人ために尽くすこと」です。稲盛氏を始め古今東西の偉大なリーダーたちが、このことを「成功の要諦」として提言しています。

 こうした「善行」を、より多くの人が行えば、職場は働きやすくなり、社会は、豊かで暮らしやすくなります。そのことはわかっていますが、人は思います。

某リーダー
某リーダー

「自分ひとりが、善行をしたこところで、世の中や会社が急に変わるわけではないし、受けとるメリットも少ないよ。だから、善行なんて無駄だよ」

 確かに、そうかもしれません。

 でも、グローバル企業を一代で築き上げた稲盛和夫氏が、それこそ、私たちとは桁違いのレベルで多様な人々の人生を見てきて、その結果、言うことは、「人の道から外れたことをして成功した人はいない」という世の真理です。

 つまり、善は決して無駄にならないのです。その根幹にある思想として、稲盛氏は「因果応報」の考え方を説きます。

因果応報

善いことをすれば、善いことが起きる。
悪いことをすれば、悪いことが起きる。

 この「因果応報」を私たちに教えつつ、稲盛さんはこう言っています。

稲盛和夫
稲盛和夫

「因果が応報するには時間がかかる。このことを心して、結果を焦らず、日ごろから倦まず弛まず、地道に善行を積み重ねるように努めることが大切なのです。」

『生き方』(稲盛和夫 サンマーク出版)p218

 インドを独立に導いた偉大なリーダー「マハトマ・ガンジー」は、「よいものはカタツムリのように進むのです」といいました。

 「善」が実現されるには時間がかかるのです。すぐに結果が出ないからといって、あきらめてはなりません。リーダーシップは打ち上げ花火のようにパッと咲いて散るものではなく、雑草のような地道な継続によって発揮されるパワーなのです。

まっつん
まっつん

 AI(人工知能)が、私たちの生活や働き方を変えていっています。どんな科学技術にも「正」と「負」の側面があります。技術が進化し、生活がより豊かに便利になる反面、様々な労働がAI(人工知能)に取って代わられ、人間の存在意義が深く問われるようになります。

 また、新型コロナウイルスが与えた影響は長期化し、ウイルスと共に生きる生活様式が必然となります。すると不安が増大し、その不安に負けて多くの人が、「快楽」「我欲」を軸に刹那的に人生を判断しがちになります。

「今だけ、自分だけよければ、それでいい」

 そんな刹那主義が加速するポストコロナ時代を生き抜くリーダーのマインドセットとして、稲盛さんが説くプリミティブな「人としての教え」は、ますます重要になってきます。

 人として正しいこと」を、「善」を、積み重ねていきましょう。

 最後に、稲盛さんの名言を記して、本コラムを終えます。

稲盛和夫の名言

 一生懸命働くこと、感謝の心を忘れないこと、善き思い、正しい行いに努めること、素直な反省心でいつも自分を律すること、日々の暮らしの中で心を磨き、人格を高めつづけること。
 すなわち、そのような当たり前のことを一生懸命行っていくことに、まさに生きる意義があるし、それ以外に、人間としての「生き方」はないように思います。

『生き方』(稲盛和夫 サンマーク出版)p243

(文:松山淳)