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原晋監督(青山学院大学陸上部)10の名言

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原晋監督(青山学院大学陸上部)略歴

 1967年(昭和42年)、広島県生まれ。中学時代に陸上を始める。3年生の時にキャプテン。三原市内の中学校対抗駅伝にて2年連続で優勝。陸上の競合世羅高校3年時に全国高校駅伝で準優勝。中京大学に進学し、日本インカレの5000m競技で3位となる。
 大学卒業後、中国電力の陸上部に1期生として入部。入社5年目で現役引退。中国電力の社員として働く。営業マンとして高い業績をあげ、新会社(ハウスプラス住宅保証)の立ち上げを行う。5人で始めた新会社は100人規模に成長する。
 2004年、青山学院大学陸上部監督に就任。出向する道もあったが退路を断ち、中部電力を退職しての就任となる。2009年(第85回大会)、青学として33年ぶりの箱根駅伝出場。2015年(第91回大会)、初の箱根駅伝総合優勝。監督就任11年目での快挙。2018年まで優勝を続け、箱根駅伝4連覇を果たす。2020年、2022年も優勝し、箱根駅伝を制覇している。

 2024年、箱根駅伝第100回となる大会では、10時間41分25秒で大会記録を塗り替える。2位の駒澤大に6分35秒の差をつけて7度目の優勝を飾った。

原晋監督の名言1:外と交わる

 原監督は、現役を引退した後、中部電力で「伝説の営業マン」と呼ばれるほどの高い業績を残しています。ビジネスマンとして変革を続けて成果をあげ続けたのです。

 2004年に青山学院大学陸上部監督に就任した時、そこで見た光景は、体育会特有の古い慣習に縛られている旧態依然とした姿でした。原監督は、陸上選手として現役時代に学んだことではなく、営業マンとして磨いた「成果を高める手法」を陸上界に持ちこみました。

 箱根駅伝出場が夢のまた夢だった当時の青学を、ビジネスで培ったノウハウで導いていったのです。

 原晋監督は自著『フツーの会社員だった僕が、青山学院大学を箱根駅伝優勝に導いた47の言葉』(アスコム)の中で、こう言っています。

『フツーの会社員だった僕が、青山学院大学を箱根駅伝優勝に導いた47の言葉』(アスコム)
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原晋監督の名言

 新しい発見やアイデアは、内から生まれるより、外と交わることで生まれてくるものです。

『フツーの会社員だった僕が、青山学院大学を箱根駅伝優勝に導いた47の言葉』(アスコム)

 業界の常識、世間の非常識。

 そんな皮肉めいた言葉がビジネス界にはあります。業界の中での「常識」に考えが染まってしまうと、その「常識」がどれだけ「世間の常識」とズレていっても、ズレに気づかないか、気づいていても、「自分たちは間違っていない」と自己正当化していまうのです。

 すると「世間の常識」からますますズレていくばかりでなく、「時代の流れ」からも取り残されることになります。

まっつん
まっつん

 大切なことは、自分たちが「ズレ」ていることに本当の意味で気づくことですね。その気づきをもたらすのは、往々にして、業界の外からやってきます。

 地域活性化の現場でも、必要な人材として「若者、よそ者、ばか者」といいますね。

 原監督は陸上選手でしたので100%の「よそ者」とは言えませんが、ビジネスノウハウを陸上界に持ち込んできたという点では「よそ者」といえます。

 「よそ者」だったからこそ、固定観念にとらわれない指導を、学生たちに対してできたのです。 

原晋監督の名言2:具体的な目標設定

  目標設定の考え方に「SMARTの法則」がありますね。SMARTは、以下の英単語の頭文字をとったものです。

  • Specific:具体性(どれだけ具体的であるか?)
  • Measurable:計測可能性(数値で測ることができるか?)
  • Achievable:達成可能性(努力次第で達成することができるか?)
  • Relevant:関連性(自分の報酬・モチベーションと関連するか?)
  • Time-bound:明確な期限(いつまでに達成するのか?)

 目標設定の際に、より具体的に数値化をしていくことがポイントです。「がんばります」「努力します」は、目標設定ではありません。原晋監督は、『逆転のメソッド 原晋の“メソッド”』 (原晋 祥伝社)の中で、こう書いています。

『逆転のメソッド 原晋の“メソッド”』 (祥伝社)
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原晋監督の名言

「一歩ではなく「半歩先」というのが私の口癖だが、壮大な目標を掲げるのではなく、手が届くところにある目標を着実に達成していくことが大事なのだ。その半歩が積み重なったとき、四年間でものすごい成長につながっていく。」

『逆転のメソッド 原晋の“メソッド”』 (祥伝社)

 例えば、神野選手の目標設定は、次の通りです。

箱根駅伝 5区 区間賞 78分30秒

一 山登り補強二種目を週に三回やる
二  強化を目的とするコアトレ二種目を週四回やる
三  各自ジョギングでもクロカンを使用する
四  故障予防として夜のストレッチを三十分する。治療も計画的に
五  体調管理として手洗い、うがい、外出時マスク、一日一本の R― 1
六  一月二日の五区に向けて最高の状態を作る
七  一カ月間、一秒でも多く陸上のために時間を使う
八  食生活はバランスを考える。鉄分の多い食事を摂る

『逆転のメソッド 原晋の“メソッド”』 (祥伝社)

 ご覧の通り、目標達成に向けて、何をすればいいかが具体的であり、何をどれだけするのかが数値化されています。「ただがんばる」ではなく、何をどれだけするのかを数値化することによって、目標に対する意識の高さを維持することができます。

原晋監督の名言3:情に訴える。

 理屈では人は動かない。

 この言葉は、古くから言われる「リーダー哲学」のひとつですね。

まっつん
まっつん

人には心があります。心が動いた時に、人は動くものです。その心を大きく動かすエネルギーが感情です。つまり、心が動くとは、感情が動くことです。

 感情を動かすには、人の気持ちをわかろうとしなければなりません。人の気持ちをわかるためには、相手の気持ちになって考える習慣が役に立ちます。

 一代でグローバル企業ホンダを創りあげた本田宗一郎は、こう言っています。

 人を動かすことのできる人は、他人の気持ちになれる人である。
 そのかわり、他人の気持ちになれる人というのは自分が悩む。
 自分が悩んだことのない人は、まず人を動かすことはできない。

『やりたいことをやれ』(本田宗一郎 PHP研究所)p104

 2004年、原監督は、監督就任後に、「人間の能力に大きな差はない。あるとすれば、熱意の差だ」と選手たちの情に訴えました。この時の、箱根出場を目指す意志はあるものの、目標達成に向けて規則を守る覚悟を問われると、鈍い反応を示しました。

 原監督はその後、選手たちの情に訴えることも常に心がけ、実践し続けているといいます。『逆転のメソッド 原晋の“メソッド”』 (原晋 祥伝社)には、こんな名言をみつけます。 

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原晋監督の名言

「ビジョンを持ち、理論や理屈を説くことは大切だが、どれだけ理屈を説いても最後は「おまえに託すから、おまえ自身のために、そして部のためにがんばってくれ」というような情に訴えるものがないと人間は動かないものだ。」

『逆転のメソッド 原晋の“メソッド”』 (祥伝社)

 最後の最後、人を動かすのは、人の心に響いた時です。人の心に響かせるのは、情に訴えるコミュニケーションです。冷静に語ることを基本にしつつ、時には、情に訴え熱く語るのがリーダーの仕事です。

原晋監督の名言4:悔しさが闘志になる

 2016年のキャプテンは「3代目 山の神」と呼ばれた神野大地選手でした。神野選手は、青学卒業後、実業団のコニカミノルタに進み、2018年にはプロに転向しています。2019年アジア選手権マラソンで優勝をしています。

 どんな選手にも浮き沈みはあるものですが、この神野選手も順風満帆だったわけではありません。お菓子ばかり食べている時期があり、1年の秋には故障をして駅伝メンバーに選ばれませんでした。

 人は成功ばかりではなく、失敗の体験がバネとなり飛躍をとげるものです。その失敗の体験で、どう考え何をしたかによって未来が決まってきます。

 原監督は、著書『勝ち続ける理由』(祥伝社新書)にて、こう書いています。

『勝ち続ける理由』(祥伝社新書)
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原晋監督の名言

「人間というのは不思議な生き物で、何でも与えられていると意欲が失せてしまう。やはり何か悔しさがないと闘志が湧いてこないのだ。」

『勝ち続ける理由』(原晋 祥伝社新書)

 悔しさを感じることも才能のひとつ。

 そう言われるのは、悔しさが行動するエネルギー、つまり「闘志」となって人を成長させるからですね。失敗することは誰にでもあることです。大切なことは、その失敗から何を学び、次をどう変えていくかです。

 失敗の時に感じた「悔しさ」は、闘志となって未来を変える力になります。

原晋監督の名言5:共通理念をもつ

 パーパース経営。

 昨今、経営学でパーパス(Purpose)がキーワードになっています。パーパス(Purpose)の意味は、「目的・意図・意思」などです。自社の事業目的とは、「何のために、私たちはこの会社に存在しているのか」を明確にすることでもあり、パパーパースは「存在意義」のことでもあります。

 つまり、パーパース経営とは、自社の事業目的=「存在意義」(パーパス)を明確にし、パーパスを共通理念とし、社員がパーパスをより強く意識しながら働くことです。

 Ideal Leaders(株)の 共同創業者 / CHO (Chief Happiness Officer)の丹羽真理氏は、著書『パーパス・マネジメント』(クロスメディア・パブリッシング)の中で、こう書いています。

『パーパス・マネジメント』
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 会社組織のPurposeとそこで働く個人のPurposeが一致していると、社員はいきいきと幸せに働くことができます。社員が幸せだと、会社の業績は間違いなく上がるのです。

『パーパス・マネジメント』(丹羽真理 クロスメディア・パブリッシング)

 原監督が打ち出すユニークな作戦名が話題になってきました。

 2015年「ワクワク大作戦」で初優勝 、2016年「ハッピー大作戦」で2連覇 、2017年は「サンキュー大作戦」で3連覇を果たしています。

 このユニークで記憶に残りやすいキャッチコピーを「共通理念」として、選手たちは箱根路を駆け抜けてきました。 

 原晋監督は、インタビューでこんな言葉を残しています。

原晋監督の名言

 従来のピラミッド型のマネジメント手法から、新しい組織形態に変わっていく時期なのかなと思っています。上の人から言われて動く、上意下達のスタイルではなく、共通の理念のもと、それぞれが自分の考えで責任を持って動く。

BBM SPORT スマイルスポーツマガジン・インタビュー 【陸上/駅伝】原晋監督「箱根駅伝で正月から元気を与えたい」

 原監督がいう「共通の理念のもと、それぞれが自分の考えで責任を持って動く」は、パーパス経営に通じるものです。

 青学陸上部の存在意義(パーパス)

原晋監督の名言6:個性はあっていい

 ダイバーシティ&インクルージョン。

 昨今、企業は人材の多様性を認め、個の資質・思想を包括していく(インクルージョン)姿勢を明確に打ち出しています。なぜなら、同じ考え方をする人材がそろうと、意志決定が偏ることになり、結果的に、組織力を弱めてしまうからです。

 そこで、人材の多様性を認め、それを活かしていく企業姿勢が求められているわけです。

 「個を認める」

 この言葉は確かに聞き心地のよい言葉です。ですが、実際に「個を認める」ことは、個のもつ様々な考え方を公平に扱おうと努力することであり、ひとつ間違えると、組織(チーム)としての「まとまり」を弱め、「バラバラ」にしていく力を強めてしまうことになります。

 そこで必要になるのが、ビジョンやパーパスなどの共通理念です。個性は様々であっても、メンバーが納得している共通の理念がフックとなってチームにまとまりをもたらします。原監督はこんなことを言っています。  

原晋監督の名言

 個性はあっていいので、尖った選手もいれば、丸い選手もいる。三角の選手もいれば、同じ丸でも色の違う選手がいる。いろいろな選手がいていいんです。理念は共有しつつ、それぞれの個性がぶつかり合って、組織ができていけばいいと思います

BBM SPORT スマイルスポーツマガジン・インタビュー 【陸上/駅伝】原晋監督「箱根駅伝で正月から元気を与えたい」

 個性は100人100様です。

 同じ現象が起きても、個性が違うために、考え方は異なっていきます。考え方が異なりますので、組織(チーム)では、対立(コンフリクト)の起きるのが自然な姿です。

 対立が起きた時、判断のよりどころになるのが「ビジョン」「パーパス」などの共通理念です。

 個性を認めつつ、共通理念を常日頃から、どれだけ意識できるかが、組織(チーム)に「ぶつかりあい」と「まとまり」をもたらしてくれます。

原晋監督の名言7:他人に任せる

 2022年、カタール・サッカーW杯にて、日本代表を率いた森保監督は、強豪ドイツとスペインを撃破し、「ドーハの悲劇」を「ドーハの歓喜」に変えた監督として、高く評価されるようになっています。

 森保監督と原晋監督が、言葉は違えども、共通することを言っています。それは「他人に任せる」ことです。

森保監督の名言

「自分を飾ったり、にわかで勉強したことを話したりしても、選手たちに受け入れてもらえません。だからマネジメントに徹して、それ以外はできる人にやってもらう、託す、任せる。」

『GQ』【サッカー・ワールドカップ特集】日本代表・森保一監督インタビュー──カリスマ型とは対極にいる、寄り添うタイプの指揮官(2022年11月1日)

 原晋監督は、就任当初から「私がいるから強い、私がいなくなったら弱い」という組織にはしたくなかったそうです。そのためにできることは、監督の権限を選手たちにできるだけ譲っていくことです。

 権限を譲る一例は、チーム運営にとって大切なことを、監督が決めるのではなく「選手たちで決めてよい」と「任せる」ことです。

「任せる」ことについて、原晋監督は著書『フツーの会社員だった僕が、青山学院大学を箱根駅伝優勝に導いた47の言葉』(アスコム)の中で、こう書いています。

『フツーの会社員だった僕が、青山学院大学を箱根駅伝優勝に導いた47の言葉』(アスコム)
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原晋監督の名言

 そもそも組織としてやるべきことは、到底一人でできるものではありません。誰かに任せたほうが組織は確実に強化できるはずです。

『フツーの会社員だった僕が、青山学院大学を箱根駅伝優勝に導いた47の言葉』(アスコム)

 どれだけリーダー(監督/上司)が優秀であっても、ひとりですることには限界があります。

 また、リーダーが何でもひとりでやろう、ひとりで決めようとすると、フォロワー(選手/部下)たちの「やるべき仕事」「経験すべきこと」をとりあげることになります。それは、フォロワー(選手/部下)の成長を邪魔することです。

 リーダー(監督/上司)とは、ついてくるフォロワー(選手/部下)の成長を促す存在です。ですから、積極的に他人に任せる姿勢が、リーダーには求められるのですね。

 私はどれだけ部下に任せているだろうか?

 リーダーが常に問い続けたい、自問自答の言葉です。

原晋監督の名言8:熱意ある人間になる

 次のものは、「経営の神様」と呼ばれた京セラ創業者稲盛和夫氏が提唱した成功の方程式です。

 人生・仕事結果=考え方×熱意×能力

 能力は普通であっても、熱意があり考え方がよければ、よい結果に恵まれます。反対に、どれだけ高い能力をもっていても、熱意がなければ、継続することができないので、結果は、乏しいものになるでしょう。

稲盛和夫氏は、著書『生き方』(サンマーク出版)の中で、こう言っています。

『生き方』(稲盛和夫 サンマーク出版)
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よい心がけを忘れず、もてる能力を発揮し、つねに情熱を傾けていく。それが人生に大きな果実をもたらす秘訣であり、人生を成功に導く王道なのです。なぜなら、それは宇宙の法則に沿った生き方であるからです。

『生き方』(稲盛和夫 サンマーク出版) p53-54

 原監督は、2004年の監督就任以来、ビジネスマンとして培ったノウハウを軸にして陸上部を強化してきました。まさに陸上界の「革命児」です。箱根駅伝で優勝を飾ってからは積極的にマスコミに出演し、陸上界の常識を変えてきました。

 しかし、知名度があがれば自然とアンチ(反対派)も生まれてくるわけで、多くの批判にもあってきました。

 この批判にめげず改革を続けていくのには、どれだけ結果が出ていても、「熱意」がなければ続かないものです。原晋監督は、『家庭画報』のインタビューで、こう答えています。

原晋監督の名言

私は、熱意がある人間には、経験や学歴がなくてもチャンスを与える世の中が、新しいアイディアと新しい文化を創り出していくと信じています。

『家庭画報,com』祝・箱根駅伝王座奪還!青学・原監督に特別インタビュー(2020.1.10)

 熱意あるひとりの人間は、熱意なき100人の人間より、世の中に大きな影響を及ぼすことができる。

 ひとりの熱意ある人間が組織(チーム)を変え、世の中をよりよく変えていきます。

 変革を導くリーダーは、自身の能力よりも、熱意をもっているか否かを、常に問い続けたいものです。

原晋監督の名言9:「できたこと」をアピールする

 2004年に青学陸上部の監督に就任して、3年目に最大の危機を迎えます。

 原監督は就任当初、3年の契約で、3年で箱根駅伝に出場するビジョンを掲げていました。しかし、予選会で16位という順位に終わり、目標を達成することはできませんでした。OBや組織の中から批判があがりました。

 当時はまだ、箱根駅伝に出場していない無名の監督です。いくら陸上部の監督といっても、大学に雇われている身です。監督として雇用し続けるか。大学側の判断があります。

『「挫折」というチカラ』(マガジンハウス)
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 原監督は、この時、自分の「できたこと」「結果が出ていること」を熱意をもってアピールしました。そこで、次の言葉です。

原晋監督の名言

 自分が達成できなかった事実は事実として言い訳せずに、「できたこと」、「小さくとも結果が出ていること」をきちんと相手にアピールすることです。ビジネスパーソンであったら、ノルマが達成できてなくとも、そこまでの道のりで努力したこと、功を奏したことを説得力ある言葉で伝えることです。

『東洋経済オンライン』 退部者続出!崩壊寸前から「箱根で優勝」できた訳(2022.12/29)

  通常であれば、成功を残せなかった理由について説明するものでしょう。

 ですが、そうすると「言い訳」めいたものになりがちです。「言い訳」は印象のよくないものです。

 「結果が出なかった」という事実を変えることはできません。ですが、どれだけ「結果が出なかった」プロセスであっても、全くゼロというわけではありません。そのプロセスにおいて、「できたこと」が何かあるはずです。

 原監督は、進退を問われる大学側との面接において、「これまでやってきた規則正しい生活の導入や 地域清掃活動などの人間形成教育が実を結びつつ」あることを丁寧に説明をしました。

 「できたこと」「小さくとも結果の出ていること」に焦点をあわせアピールすることで、印象を変えることができます。このアピールが功を奏したためか、原監督は契約を1年間延長してもらい、危機を乗り越えることができたのです。

原晋監督の名言10:当たり前のことをやる

「仕事のABC」といえば、次のことですね。

 A:当たり前のことを
 B:バカにせず
 C:ちゃんとやる

 もし、「当たり前のことをバカにせずにちゃんとできたら」、その人は、何らかの成果を残せるはずです。もちろん、持って生まれた才能や資質がありますので、からなず、トップレベルになるとはいえません。

 ただ、「当たり前のことをバカにせずにちゃんとやる人」は、周りの人が信頼し、引き立ててくれる可能性が高まります。その人がリーダーの立場にあれば、個人の力よりチーム力が問われるわけですから、フォロワーから信頼されることでチームとして成果を高めていくことができるでしょう。

 原晋監督は、著書『勝ち続ける理由』(祥伝社新書)にて、こう書いています。

『勝ち続ける理由』(祥伝社新書)
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原晋監督の名言

「当たり前のことを当たり前にやっていけばいいのだ。ただ、その当たり前のことをやるのが、案外、難しい。だから「準備とこだわりを持って頑張れ」というのが、私がいつも選手たちに送るメッセージなのだ」

『勝ち続ける理由』(原晋 祥伝社新書)

 当たり前のことは当たり前だからこそ、「別にやらなくてもいいだろう」と、手抜きの誘惑にかられます。その「手抜きをしたくなる誘惑」に勝つことができれば、勝利の女神が微笑むことになります。

「当たり前のことをバカにせずにちゃんとやる」

 フォロワー(部下/選手)に送る言葉ありつつ、同時に、リーダー自身が自分につきつけたい、「初心」「基本」を思い出させてくれるシンプルでありながら重みのある言葉です。 

 

(文:松山 淳


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