リーダーシップとマネジメントの違いとは

COLUMN for LEADERS 006「リーダーシップとマネジメントの違い」

「本当の自分を知りたい」と思ったら・・・自己分析 by MBTI®(個人セッション:3時間)

管理ではなく、リードする。

『管理はやめよう』
 
管理されたい人などいない。人は、率いてほしいのだ。
世界的マネジャーなど、聞いたことがない。
世界的リーダー、ならある。教育のリーダー。政治のリーダー。
宗教のリーダー。ボーイスカウトのリーダー。地域社会のリーダー。
労働者のリーダー。企業のリーダー。
彼らは、率いる。管理するのではない。
勝つのはムチではなく、常にニンジンだ。
馬に聞いてみるといい。
馬を連れて水辺まで行くことはできるが、馬にむりやり水を飲ませることはできない。
誰かを管理したいなら、自分を管理することだ。
それがうまくできたら、もう人を管理したいなどと思うことはないだろう。
そして、率いることを始めるだろう。


“Let’s Get Rid of Management”
 
“People don’t want to be managed.They want to be Led.
Whoever heard of a world manager?
World Leader, yes. Educational Leader. Political Leader.
Religious Leader. Scout Leader.
Community Leader. Labor Leader. Business Leader.
They Lead. They don’t manage.
The carrot always wins over the stick.
Ask your horse.
You can Lead your horse to water, but you can’t manage him to drink.
If you want to manage somebody, manage yourself.
Do that well and you’ll be ready to stop managing.
And start Leading…”

(Printed by United Technologies Corporation in the Wall Street Journal)
出典:『本物のリーダーとは何か』(ウォレン・ベニス 海と月社)

『本物のリーダーとは何か』
(ウォレン・ベニス 海と月社)
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 この詩的な『管理はやめよう』は、リーダーシップ研究の大家ウォレン・ベニスの著『本物のリーダーとは何か』にあったものです。『管理はやめよう』は、ウォール・ストリート・ジャナールに掲載された「ユナイテッドテクノロジーズ社」のものだそうです。

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まっつん

「リード」と「マネジメント」の違いをわかりやすく伝えていますね。また、人の上に立つ人間としては「マネジャーであるより、リーダーになることが、より賢明である」と読み取ることができます。

 経営学者の中には、「リーダー」と「マネジャー」、または「リーダーシップ」と「マネジメント」の違いについて論を展開している人がいます。松下電器産業(現パナソニック)の創業者松下幸之助の研究者としても有名なハーバード・ビジネススクール教授「ジョン・P・コッター」は、そのひとりです。

組織で働くリーダー(上司)は、日頃、リーダーシップとマネジメントを組み合わせながら仕事をしています。でも、ふたつの違いを意識することは少ないでしょう。

では、「リーダーシップ」と「マネジメント」を、分けて考えることに、メリットはあるのでしょうか?

 そのメリットとは、次の点です。

「リーダーシップ」と「マネジメント」の違いを理解することで、リーダーとしての行動指針が明確になり、自己変革を導きやすくなる。

冒頭の『管理はやめよう』を読むと、どうも「マネジメント」よりも「リーダーシップ」のほうに分があるようです。

本当にそうでしょうか?

では、「リーダーシップ」と「マネジメント」の違いについて、説明していきまましょう。


「リーダーシップ」と「マネジメント」の3つの違い

まず、リーダーシップとマネジメントの違いを理解していく上で、3つのキーワードをあげます。

ⅰ)影響力の源泉
ⅱ)行動の視点  
ⅲ)使命

それぞれの違いを表にすると、下の表の通りです。それでは、順番に説明してきます。

リーダーシップとマネジメントの相違点の表

 ⅰ)影響力の源泉

 一般的な定義では、リーダーシップとは「人が人に与える影響力」のことです。リーダー(上司)がフォロワー(部下)に「影響」を与え、人を動かし、組織の目標を達成していく。これが「リーダーシップ」です。

 この時、フォロワーの側からみると、影響を受けて「動かされた要因」が存在します。

 「あの上司の言うことを聞かないと異動させられるので…」といった権力が生み出す「恐れ」が要因のケースもあれば、「あの上司は信頼できる人だから…」と、リーダーの「人間性」が要因になる場合もあります。

  前者「異動させられるので…」は、リーダーのもつ「権限」(人事権)にコントロールされています。後者「信頼できる人だから…」は、リーダーの「人間性」を信頼してフォロワーが動いています。人が動かされる、つまり、「影響力の源泉」に違いが見れます。この違いに学者たちは注目し、ふたつを分けて考えました。

・リーダーシップは、リーダーの人間性によって人を動かすこと
・マネジメントは、地位による権限や組織の規則によって人を動かすこと

 「ユナイテッドテクノロジーズ社」のメッセージに「勝つのはムチではなく」とありました。もし、「今度失敗したら、異動させるぞ!」という権限による威圧、つまり「ムチ」をふるうことで人を動かそうとしていたら、それはリーダーシップではないのです。

 権限というムチを振るうことなく、日頃から、「いつもありがとう」「君ならきっと成功すると思う、信じてるぞ」といったポジティブなメッセージを発するリーダー(上司)の「人間性」によって「信頼」が蓄積され、その「信頼」によってフォロワー(部下)が「自ら動く」のであれは、それこそがリーダーシップというわけです。

 ⅱ)行動の視点

 リーダーの役割のひとつに、「ビジョンを描く」があります。3年後、5年後、10年後、「会社をどうしたいのか?」「メンバーと共にどうなっていたいのか?」。理想の未来を思い描き、そのイメージを具体的に表現してフォロワーに伝え続けるのがリーダーの仕事です。

つまり、リーダシップとは、「未来」に目を向けて行動していくことです。

 一方で、未来ではなく、「今」すべき仕事も上司にはあります。事業計画にある目標数値を横目で見ながら、目の前で発生する問題解決に取り組み、目標達成に向けて進捗を管理していきます。取引先との価格交渉のために出張したり、失敗で気落ちしている部下に声をかけたります。こうした「今」に目を向けて行動していくのを「マネジメント」と考えます。

 つまり、マネジメントとは、「今」に目を向けて、職場が円滑に運営されるように「管理」していくことです。

・リーダーシップは、未来(ビジョン)に目を向け、行動していくこと
・マネジメントは、今(プラン)に目を向け、管理していくこと。

ⅲ)使命

老舗のイメージ写真

 100 年、200 年と続く老舗は、本業を貫きながらも、節目ごとに、本業の存続を根底から見直すような変革を行い、事業を継続させています。

 旧くなった工場や店舗を閉鎖し、社運をかけて莫大な資金を投下し、新たに工場や店舗を建設することがあります。変革期にあっては、スクラップ&ビルドが「使命」であり、現状を壊すことで新たな力を組織に生み出します。

 未来を見据えて、「壊し屋」の役割を自覚し「創造的破壊」を意識的に行っていくのがリーダーシップです。

 でも、「変革疲れ」という言葉がある通り、「危機感の醸成」は大事ですが、、毎日が「非常時」「危機」では、社員は精神的に疲れてしまいます。組織も疲弊してしまいます。「ぬるま湯体質」は戒めなくてはいけませんが、社員が安心して働ける秩序ある職場であることも大事ですね。

 壊すことではなく、秩序を回復し、安定をもたらすこと。そして、「秩序を維持」していくことがリーダーの使命であり、これを「マネジメント」と考えます。

・リーダーシップは、節目ごとでの「創造的破壊」を使命とする。
・マネジメントは、今ある秩序の維持を使命とする。

「リーダーシップ」と「マネジメント」は、どちらも大切!

 冒頭のユナイテッドテクノロジーズ社のメッセージでは、マネジメントを「管理すること」だとして、否定的な見方をしていました。

 ただ、実際にリーダー(上司)が職場で行動をしている時には、「地位」による影響力が無いように心がけていても、フォロワー(部下)は、役員、部長、課長といった「役職から生まれる力」を完全に無視することはできず、自然とポジション・パワーは発揮されて、本記事でいう「マネジメント」は行われていることになります。

 また、視点を「今」に向けて、職場の「秩序を維持」を管理することは、リーダー(上司)にとって重要な仕事です。メンタルヘルス、パワハラ、モラハラ、金銭の横領などなど、それらの問題を未然に防いだり解決したり、マネジメントの仕事は山のようにあります。

 よって、マネジメントよりもリーダーシップが「優れている」とか、マネジメントは「必要」「必要じゃない」といった、双方の「優劣」や「要・不要」を言い争うことは不毛です。どっちも大事ですし、どちらも必要なことです。

 経営学の大家ヘンリー・ミンツバーグは、『マネジャーの実像』(日経BP社)で、こう書いています。

『マネジャーの実像』(日経BP社)
『マネジャーの実像』
(日経BP社)

リーダーは、マネジメントを他人まかせにしてはいけない。マネジャーとリーダーを区別するのではなく、マネジャーはリーダーでもあり、リーダーはマネジャーでもあるべきなのだと、理解する必要がある。

『マネジャーの実像』(ヘンリー・ミンツバーグ 日経BP社)p13

 ハーバード・ビジネススクール教授のジョン・P・コッターは、『リーダーシップ論』(ダイヤモンド社)に収録された論文「リーダーとマネジャーの違い」の中で、こう述べています。

『リーダーシップ論』(ダイヤモンド社)
『リーダーシップ論』
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リーダーシップとマネジメントは、別々の個性を持ちながら、お互いを必要としているといえる。どちらも独自の役割と特徴を持っている。そして複雑さと変化の度合いが増すビジネス環境においては、ともに欠くべからずざるものである。

『リーダーシップ論』(ジョン・P・コッター ダイヤモンド社)p47

 リーダーの豊かな人間性でチーム・メンバーを導く「リーダーシップ」は理想ですが、社会人としてのマナーを守らず顧客に不快な思いをさせたり、個人情報を第三者に漏えいしたりする非道徳的な社員に罰を下す「マネジメント」がなくては、組織の規律が乱れ企業の存続が危うくなります。

 ただ、「過剰マネジメント」「マネジメント過多」といった言葉がある通り、「管理のし過ぎ」「地位による権限の乱用」などで、仕事の生産性や部下のモチベーションが落ちていたりすることが実際にあるので、「マネジメントはほどほどにして、上司はリーダーシップを発揮しよう」という展開になるわけです。

http://www.earthship-c.com/wp/wp-content/uploads/2019/08/jun-face.jpg
まっつん

 そこで、職場の状況や自分の仕事ぶりを分析して、「今の自分はリーダーシップとマネジメントのどちらに軸足を置くべきか?」と自問自答しながら「上司力」を高めようとする時に、「リーダーシップ」と「マネジメント」の違いがわかっていると役に立つわけですね。

 「リーダーシップ」と「マネジメンント」の定義がごちゃごちゃになっているよりも、ふたつを切り分けて頭の中が整理できていた方が、リーダー自身の役割が明確になり「自分が行うべき行動の優先順位の重み」を明らかにすることができます。

 すると、自分で設定する行動指針を意識化しやすくなり、その結果として、自己変革も行いやすくなるのです。

 組織が停滞していると思えば、未来を見据えた変革(リーダーシップ)が求められます。創造的破壊を引き起こすために、「嫌われる勇気」を発揮して「壊し屋」の役割を引き受けなければいけません。

 ハラスメント系の小さな問題が、「今」頻発していてチームがギスギスしているのであれば、その問題を今すぐに解決して秩序を回復・維持できるように、何らかのシステムやルールを導入するなど「マネジメント(管理)」に重きを置くことが、必要になってくるでしょう。

リーダー(上司)は、「リーダーシップ」と「マネジメント」を両輪として、右目で「今」を、左目で「未来」を見つめ、双方のバランスをとりながら行動していくのです。

(文:松山淳 イラスト:なのなのな


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