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森保一監督(男子サッカー日本代表)10の名言

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森保一監督略歴

 1968年(昭和43年)、静岡県掛川生まれ、長崎県長崎市育ち。長崎日本大学高校卒業。1987年にマツダ(現サンフレッチェ広島)に入団。92年に日本代表に選出され、ワールドカップ・アジア予選を戦う。
 1993年、カタール・ドーハにて、最終予選でイラクに敗れW杯出場を逃す「ドーハの悲劇」を経験。2003年現役引退。2012年にサンフレッチェ広島の監督に就任する。就任1年目にJ1優勝。翌年2013年、2015年にも優勝。
 2018年、男子サッカー日本代表監督に就任。2022年11月、カタール・ワールドカップの予選リーグで強豪ドイツに勝利する。「ドーハの悲劇」を「ドーハの歓喜」に変え賞賛される。コスタリカに敗れるもののスペイン(日本時間12/2)に勝利して、決勝トーナメント進出。決勝トーナメントでは、前大会準優勝のクロアチアと対戦(日本時間12/6)。1対1の同点で終え、PK戦の結果、惜しくも敗退。

森保監督の名言1:基本を徹底する

 森保監督は、2012年に現役時代に選手として活躍した「サンフレッチェ広島」の監督に就任します。就任1年目にして、Jリーグで優勝を果たします。翌年も優勝をし、連覇の偉業を成し遂げます。2014年は8位に甘んじたものの、2015年にまた優勝し、サンフレッチェ広島を3度の優勝へと導いています。

 森保監督は、チームを率いるリーダーとしてどんなことを大切にしていたのでしょうか。

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 森保監督が自著『プロサッカー監督の仕事 非カリスマ型マネジメントの極意』(森保一 カンゼン)の中で、次のように書いています。

森保監督の名言

 2012年の監督就任以来、僕が常日頃から選手に言っていることは、本質的に1つしかありません。それは「基本を徹底する」ことです。

 『プロサッカー監督の仕事 非カリスマ型マネジメントの極意』(森保一 カンゼン)

 ここでの「基本を徹底する」とは、「個人の責任」「チームワーク」を連携していくことです。

 「個人の責任」とは、ひとりの選手が持てる力の「100%」を発揮することです。この選手たち個々の「100%」が連携・連動させていくことでチーム力が向上します。そのために「チームワーク」が欠かせないのです。

 どれだけ優れた選手がいてもチームは勝てません。「個人の責任」と「チームワーク」が掛け算されてチームは強くなっていくのです。これをチームに必須の「基本」として、森保監督は、繰り返し選手に説き続けたのです。

森保監督の名言2:託す、任せる。

  オーセンティック・リーダーシップという考え方があります。「オーセンティック(Authentic)」は、「本物である」「信頼できる」「真正の」という意味です。

 オーセンティック・リーダーシップでは、「本物のリーダー」「信頼されるリーダー」になるために、「本物の自分」をリーダーシップの源泉にします。つまり、「自分らしさ」を大切にするリーダーシップです。

まっつん
まっつん

 とかくリーダー論とは、「カリスマ型リーダー」に関するものになりがちです。「カリスマ型リーダー」とは、生まれ持った強い人間的な魅力、天賦の有能さで人々(選手)を率いるリーダーシップ・スタイルです。

 ですが、森保監督は自分自身を、「カリスマ型リーダー」とは考えていません。「自分ができないことを無理にやらない」と考えていて、無理のない自分らしいスタイルを貫いています。

 これはまさに、オーセンティック・リーダーシップを発揮しているリーダーです。『GQ』のインタビューで、森保監督はこう答えています。

森保監督の名言

「自分を飾ったり、にわかで勉強したことを話したりしても、選手たちに受け入れてもらえません。だからマネジメントに徹して、それ以外はできる人にやってもらう、託す、任せる。」

『GQ』【サッカー・ワールドカップ特集】日本代表・森保一監督インタビュー──カリスマ型とは対極にいる、寄り添うタイプの指揮官(2022年11月1日)

 リーダーの中には、自分の有能さを証明し賞賛されようとして、他人に任せられない人がいます。

 リーダーがどれだけ有能であっても、個人の力には限界があります。また、任せないと、リーダー(上司)につてくるフォロワー(部下)が育ちません。

 「自分はカリスマではない」と明確に自己認識できているからこそ、自分をより深く知っているからこそ、他人に託すことができ、任せることができます。

 『オーセンティック・リーダーシップ』(ダイヤモンド社)に掲載されている論文『「自分らしさ」を貫くリーダーシップ』には、こう書かれてあります。

『オーセンティック・リーダーシップ』(ダイヤモンド社)
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 「オーセンティック」、すなわち「自分らしさ」を貫くリーダーは、自らの目標に情熱的に取り組み、自らの価値観をぶれることなく実践し、知識だけでなく感情の面から人々を引っ張っていく。実りある人間関係を長期的に築き、自らを律することで結果を出す。それもこれも、自分自身を知っているからである。

『オーセンティック・リーダーシップ』
(ハーバード・ビジネス・レビュー編集部 ダイヤモンド社)

  リーダーは、優秀であろうと力むよりも、力を抜いて無理なく「自分らしさ」を大切にしましょう。

森保監督の名言3:もう上がるだけ。

 2022年11月、カタール・ワールカップにて、森保監督は日本代表チームを率いて、強豪ドイツを撃破しました。このカタールにて、森保監督は1993年の現役時代に、「ドーハの悲劇」を経験しています。選手としてグラウンドに立っていたのです。

 「ドーハの悲劇」とは、1993年10月28日、アメリカW杯の出場を目指したアジア最終予選で、イラクに同点とされた一戦です。イラク戦の前の時点で、勝率や得失点差から考えて日本のW杯出場はほぼ確実でした。イラク戦でも2-1で勝利していたのです。

 ところが、終了直前にゴールを決められ、W杯出場を逃したのです。日本サッカー史上「最大の悲劇」といえるゲームです。

 森保監督は「ドーハの悲劇」を経験し、次のようにいっています。

森保監督の名言

「夢を掴み取れそうなところで、指の間から零れ落ちた。これ以上悲しい出来事は起きないだろう、という境地に達しましたね。そうなると、もう上がるだけ。ポジティブに捉えられるわけです」

『GQ』【サッカー・ワールドカップ特集】日本代表・森保一監督インタビュー──カリスマ型とは対極にいる、寄り添うタイプの指揮官(2022年11月1日)

 人は、辛い状況に陥った時、その現実を「どうとらえるか」によって、差が生まれてきます。

まっつん
まっつん

 「こんな目にあうなんて、なんて自分は不運なんだ。もうダメだ」。そうネガティブ(否定的)に現実をとらえれば、「心の力」が失われ、実際に、その人の現実は「ネガティブ」(否定的)なものになっていきます。

 反対に、森保監督のように、どん底にきた時に、「もうあがるだけ」とポジティブにとらえることができれば、それが行動する心のエネルギーを生み出し、時間はかかるかもしれませんが、現実はよりよく変化していきます。

 人は、現実を「どうとらえるか」によって、運命を、よりよく変えていくことができるのです。

森保監督の名言4:過去を生かす

 男子サッカー日本代表監督は、数多くの外国人が就任してきました。その中で、日本人としてW杯を率いて実績を残したのは岡田武史監督です。森保監督は、南アフリアカ大会の成果と課題を尋ねようと岡田元監督のもとを訪れました。

 すると「森保が初めてだよ、聞きに来たのは」と、岡田元監督にいわれたそうです。

 この経験から森保監督は、「成果も課題も含めて過去をポジティブに変換し、積み上げることが大切なはず。監督が代わればまたゼロに戻し、一からスタートを切る。それではもったいなくないですか?」といっています。

森保監督の名言

「過去の中身を生かさないなら、次に成功してもまた変わるだけになりかねない。」

『日本経済新聞』「世界で勝つ」確率積み上げ 森保監督インタビュー(2022年8月16日 )

 男子サッカー日本代表監督も、成績がよくないと、世間からバッシングを受けて交代がなされてきました。

 交代をするのは仕方のないことかもしれませんが、交代によって、それまで積み上げてきたことが、消えてしまうのはもったいのないことです。

まっつん
まっつん

 組織に着任した新しいリーダーは、「過去を精算」し「自分の色」を出そうとします。この「過去の精算」が「過去の無視」になってはいけません。積み上げてきたものの中には、未来に必要なものもあるのです。

 「過去」を無視するより、活かせる「過去」を見極めて、それを活かしていく勇気がリーダーには必要です。

 ですから、多くのリーダーが、アメリカの神学者ラインホルド・ニーバが唱えた「ニーバの祈り」を座右の銘としているのでしょう。

【ニーバの祈り】

神よ、変えることのできないものを静穏に受け入れる力を与えてください。
変えるべきものを変える勇気を、
そして、変えられないものと変えるべきものを区別する賢さを与えてください。

God, give us grace to accept with serenity
the things that cannot be changed,
Courage to change the things which should be changed,
and the Wisdom to distinguish the one from the other.

森保監督の名言5:力を振り絞る

 「20世紀最大の悲劇」と呼ばれるナチスの強制収容所を生き延びた心理学者がいます。V・E・フランクルです。フランクルは「生きる意味」を重視するロゴセラピーという独自の心理学を確立した心理学史に残る偉人です。

『それでも人生にイエスと言う』(フランクル 春秋社)
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 フランクルの名著『それでも人生にイエスと言う』(V・E・フランクル 春秋社)に、「最善を尽くすこと」「ベストを尽くすこと」の大切さを諭す印象的な言葉があります。

 この言葉は、フランクルを訪ねてきた青年に向けてのものです。その青年は、自分が洋服屋の店員だから「生きる意味」をもつことができない、と嘆いていたのです。これに対して、フランクルはこういっています。

フランクル
フランクル

「なにをして暮らしているか、どんな職業についているかは結局どうでもよいことで、むしろ重要なことは、自分の持ち場、自分の活動範囲においてどれほど最善を尽くしているかだけだということです。

活動範囲の大きさは大切ではありません。大切なのは、の活動範囲において最善を尽くしているか、生活がどれだけ『まっとうされて』いるかだけなのです」

『それでも人生にイエスと言う』(V・E・フランクル 春秋社)P32

 森保監督も、選手たちに、「最善を尽くすこと」「ベストを尽くすこと」を求めています。これは名言1で紹介した、「個人の責任」として、ひとりの選手が持てる力の「100%」を発揮することに通じているリーダーの哲学です。

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森保監督の名言

 結果はどうあれ自分たちが持っている力をふりしぼったかどうかを自問自答し、胸を張って「力を出し切った」と振り返れるような試合をしなければいけないと思っている。それさえできれば、結果は必ずついてくる。

 『プロサッカー監督の仕事 非カリスマ型マネジメントの極意』(森保一 カンゼン)

 ベスト尽くしたとしても、勝てない時はあります。

 しかし、恐ろしいのは、ベストを尽くしたのに負けてしまうことより、ベストを尽くしていないのに勝ててしまうことです。

 ベストを尽くさない勝利は、努力する意欲や意味を失わせます。その結果、フォロワー(部下・選手)がダメになっていくのです。

 だから、長い目で見て、森保監督のように「結果はどうあれ自分たちが持っている力をふりしぼったかどうか」に焦点をあてていく育成法がリーダーには求められるのです。 

森保監督の名言6:次を良くする

 「失敗を恐れるより、何もしないことを恐れよ」

 よく聞く言葉です。

まっつん
まっつん

 失敗は誰にでも起きるものですから、失敗に対する哲学をもつこともリーダーにとっては大切なことです。なぜなら、成功している時よりも、失敗をした時にこそ、リーダーの真価が問われるからです。

 森保監督も失敗を「どう考えるか」について、言葉を発しています。

 まずミスや失敗が誰にでも起きることを認めるのは、共通しています。

 その上で、どう考えるか、ですね。森保監督は、「ひきずるのではなく、次を良くする」といっています。つまり、目的論として考えれば、「次が、さらによくなるために、失敗は起きるのだ」と、ポジティブにとらえられます。

 どんな失敗の哲学をもっていますか?

 次の言葉は、『人生が輝く言葉』(2021年9月28日)に私が書いたものです。失敗の哲学として参考になさってください。

失敗は悔やむものではなくて、次に活かすもの。
 失敗は悲しむものではなくて、成長のこやしにするもの。
 失敗は嘆くものではなくて、次の飛躍への踏み台にするもの。
 失敗するからよくなるものがある。
 失敗しても失敗しても、何度でも立ち上がり、次のステージへ飛躍しよう。

 失敗は悔やむものではなくて、次に活かすもの。

 失敗は悲しむものではなくて、成長のこやしにするもの。
 失敗は嘆くものではなくて、次の飛躍への踏み台にするもの。
 失敗するからよくなるものがある。
 失敗しても失敗しても、何度でも立ち上がり、次のステージへ飛躍しよう。

『人生が輝く言葉』(2021年9月28日)

森保監督の名言7:監督の覚悟

 森保監督は、カタールW杯出場を目指したアジア予選で、「3試合で2敗」という厳しい成績でした。「日本代表はワールドカップに出場できないのはないか」「#森保やめろ」など、森保監督へのバッシングが強まっていました。

 この時、森保監督はキャプテンの吉田麻也を呼び出して、次のようにいいました。監督の覚悟を感じさせる言葉です。

森保監督の名言

「この監督じゃダメだという思いが、もしみんなのなかにあるなら、協会にぶつけてくれて全然構わない」

『Number』「この監督じゃダメだと思うなら、協会にぶつけてくれて構わない」森保一監督が吉田麻也を呼び出した日…“歴史的番狂わせ”の1年前(2022/11/25)

 「覚悟なんて古臭い」とか、「覚悟なんて精神論でリーダーはやっていけない」などの批判があります。もちろん、その批判は当を得ているものです。覚悟だけでリーダーはやっていけません。

 ですが、覚悟なきリーダーはフォロワーに見すかされて統率力を失います。

まっつん
まっつん

「画竜点睛」の格言になぞらえれば、「竜の目」に当たるものがリーダーの「覚悟」です。覚悟があることで、リーダーにチームを動かす力の宿ることが確かにあります。

  目に見えない「覚悟」が、目に見える現実では、重視されるのです。

 「覚悟」ひとつで変わるものがあります。

 なぜならば、リーダーの「覚悟」は、チームメンバーに伝わるからです。

森保監督の名言8:日本の強み

 2022年カタールW杯で、サッカー日本代表は強豪ドイツを撃破しました。海外メディアも衝撃をもって日本の勝利を伝えました。

 それに匹敵する日本スポーツ史に残る勝利があります。「スポーツ史上最大の番狂わせ」ともいわれました。

まっつん
まっつん

 ラグビー日本代表が強豪南アフリカに勝利したことです。2015年、イギリスW杯のことでした。南アフリカはニュージランド(オールブラックス)にならぶ世界の強豪です。これに日本が勝利したのですから、世界のスポーツファンが驚きました。

 この勝利を導いたのが、当時のエディー・ジョーンズ監督です。エディー監督は、日本の「強み」を徹底的にいかす「ジャパン・ウェイ」(Japan Way)で、力を引き出していきました。彼にこんな言葉があります。

エディー監督
エディー監督

「チームに「ジャパン・ウェイ」という日本独自のやり方を植え付けました。これは、ほかの国には真似できない「日本人らしさ」を、徹底的に活かしたものです。そこにはプレースタイルやトレーニング方法だけでなく、努力の仕方、マインドセット(心構え)など、精神的なものを多く含まれています」

『ハードワーク 勝つためのマインドセッティング』(エディー・ジョーンズ 講談社)p3

 森保監督も「日本の強み」に着目した言葉があります。

森保監督の名言

「個の特長や優れている部分を出させてあげたいが、それだけで戦うわけではありません。個を発揮しつつ、周りと協力しながら組織力を発揮していけるのが日本の強み。」

『Number』森保一監督が明かしていた“プラン”「バイエルンの試合を見まくろうと思います」歴史的番狂わせの7カ月前「3バックにはいつでも変更できる」(2022/11/25)

 経営学者ピーター・ドラッカーは、組織運営(チーム・マネジメント)において、組織や人材の「強み」に着目し、その「強み」をいかす重要性を様々な著書で唱えました。

ドラッカー
ドラッカー

「人は強みを生かして初めて何かをすることができる。何かをすることによって、何かを達成できる」

『現代の経営(上)』(ダイヤモンド社)

  人の弱みばかりに着目して、その人の可能性を奪ってしまうリーダーに対しては、こんな警鐘も鳴らしています。

ドラッカー
ドラッカー

「人の強みではなく、弱みに焦点を合わせる者をマネジメントの地位に就けてはならない。人のできることは何も見ず、できないことはすべて正確に知っているという者は、組織の文化を損なう」

『現代の経営(上)』(ダイヤモンド社)

 この警鐘はひっくりかえせば、それだけ「人の強み」が大切だということです。

 リーダーは、メンバーの「強み」を把握して認めていくこと、その努力が欠かせません。 

森保監督の名言9:チームのため、勝利のため

 エディー・ジョーンズ監督が南アフリカを撃破した時、ラグビー日本代表のモットーは、ワンチーム(One Team)でした。当時、流行語にもなり、ワンチームは、ビジネスの場面でも語られる言葉でした。

まっつん
まっつん

 小さな言葉かもしれませんが、モットーを明確にして、モットーをどれだけ共有できるかで、チーム力に差が生まれてきます。

  モットー(motto)とは、個人や組織の信念・美徳・行動指針などを簡潔な言葉で表明したもの(Weblio辞書)です。

 森保監督もモットーについてふれています。

森保監督の名言

「チームのために、勝利のために。それが我々のモットーです。1人ひとりの選手が、みんな一緒になって戦い、チームと勝利のためにプレーしなければいけないと思っています」

『FOOTBALL CHANNEL』森保一監督がスペイン紙のインタビューに登場。「最も注目するスペイン代表選手」の問いに回答は?(2022年11月22日(火)6時45分配信)

 モットーは、簡潔な言葉で表明したもの、です。

ワンチーム(One Team)」や「チームのために、勝利のために」など、いかにわかりやすく簡潔であるかが大切です。

森保監督の名言10:逆境で見えてくる人の本性

 「逆境は神の恩寵」

 昔からよくそう言います。なぜなら、辛く厳しい逆境が、その人を成長させ、よりよい変化を導くことがあるからですね。

『人生と経営』(致知出版社)
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 経営の神様と呼ばれた京セラ創業者稲盛和夫氏は、若い頃、逆境つづきでした。大学受験も就職活動も思い通りにいきませんでした。就職した会社も給料が遅配される会社でした。そんな中で、稲盛さんは次のように考えて、運命を好転させていきました。

稲盛和夫
稲盛和夫

「八方ふさがりの状態で、いつまでもすねて、毎日ぶつぶつ言っていても、どうなるものでもない。自分の人生をうらんでみても、天に唾するようなものだ。たった一度しかない貴重な人生を、決して無駄に過ごしてはならない。どんな環境であろうと、常に前向きに生きよう」

『人生と経営』(稲盛和夫 致知出版社) p24

 こう決意して、仕事に研究に懸命に取り組んでいくことで、稲盛氏の成功物語が始まるのです。

 森保監督の逆境の哲学は、この稲盛氏に通じるものがあります。

 

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森保監督の名言

 僕は逆境が嫌いではありません。自分や周囲が苦しい状況に置かれたときでも、普段の自分を出せるか。そこで踏ん張りが利く自分でいられるか。それはサッカーの指導者として、というより、ひとりの人間として自分が生きていく上でのテーマとして持っているものです。

 『プロサッカー監督の仕事 非カリスマ型マネジメントの極意』(森保一 カンゼン)

 「逆境が嫌いではありません」とは、なかなかいえないものです。

まっつん
まっつん

 多くの人は、辛く苦しい状況(逆境)を避けようとします。でも、森保監督は逆境に対峙することを「自分が生きていく上でのテーマ」としています。

 2022年カタールW杯では、予選リーグで強豪ドイツを撃破(2-1)した時には、「ドーハの悲劇」「ドーハの歓喜」に変えたと、多くの賞賛をあびました。

 しかし、クロアチア(0-1)に負けた時には、手のひら返しの厳しいバッシングにさらされました。次戦が優勝候補のひとつスペインだったため、決勝トーナメント進出が危ぶまれたのです。まさに逆境です。

 しかし、この逆境をバネにして、スペインに勝利する「ドーハの歓喜」(2-1)を再現しました。

 逆境の時に、どんな自分でいられるか。それを「人生のテーマ」とする。

 この逆境の哲学は、森保監督の精神的な強さを生み出しているといえます。

(文:松山 淳

コラム141『SLAM DUNK』安西先生の名言に学ぶアドラー流リーダーシップのアイキャッチ画像 安西先生の名言に学ぶリーダーシップfrom『SLAM DUNK』(スラムダンク)

クロアチア戦敗退後のインタビュー 森保一監督の言葉(2022カタールW杯) 

「これから先に日本サッカーが最高の景色を願い続ければ必ず壁は乗り越えられます。そのためにもこの素晴らしい選手たちを今後も後押ししていただき、日本一丸となって世界に臨めば必ず乗り越えられます」

(TV放送:フジテレビ 日本時間12/6)

「新しい景色はドイツに勝ち、スペインに勝ち、W杯チャンピオンに勝てたことを自信にもって、さらに『追いつき』ではなく『追い越せ』を考えれば、必ず未来は変わると思います」

(TV放送:フジテレビ 日本時間12/6)

名言集 アスリートたちの素敵な言葉