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新型コロナウイルスでの不安やストレスに負けない3つの考え方⑶

原則❸:未来を信じ抜く「発見的楽観主義」でいこう!

ヴィクトール・E・フランクル

 「発見的楽観主義」(Heuristic Optimism)とは、心理学者フランクルの言葉です。「生きる意味」に焦点をあわせた「ロゴセラピー」と呼ばれる独自の心理学を築いた歴史に残る偉人です。

発見的楽観主義

 「発見的楽観主義」とは、自分の置かれた辛く苦しい状況のなかに、未来を楽観できるような事実を意識的に発見し、希望を感じられるようなとらえ方をすることです。

 フランクルは、地獄の惨劇といわれたナチスの強制収容所を生き延びた心理学者です。いつ解放されるのか、まるでわからない地獄の状況を、約2年8ヶ月もの間、耐え抜きました。

 新型コロナウイルスの混乱が長期化しています。日本での実質的な終息は2年8ヶ月もの時間を要しないと予想されますが、経済への打撃からその影響を2年、3年と受け続ける人がいることは想像がつきます。現に、企業倒産やリストラが始まっています。

まっつん
まっつん

 出口がいつになるのかわからないことは、不安感を高めストレスを極めて強いものにします。長期化するストレス強度の高い日本において、健やかな心を保つために、地獄の日々に約2年8ヶ月も耐え抜いたフランクルの考え方は、実に参考になります。

 フランクル心理学は、「逆境の心理学」とも呼ばれているのです。

 フランクルが書いた『夜と霧』(創元社)に、その内容が詳述されています。東日本大震災が発生した後、『夜と霧』(創元社)は本屋に積まれ、多くの人が手にしました。

 ナチスの強制収容所に収監され、出口がまったく見えない地獄にあって、フランクルの心は折れなかったのです。

未来を信じられないと人は絶望する。

 では、 心が折れてしまった人たちはどんな心理状態だったのでしょうか。フランクルは、こう書いています。

フランクル
フランクル

「一つの未来を、彼自身の未来を信ずることのできなかった人間は収容所で滅亡して行った。未来を失うと共に彼はそのよりどころを失い、内的に崩壊し身体的にも心理的にも転落したのであった。」

『夜と霧』(V・E・フランクル みすず書房)

 つまり、自分の未来を信じられなかった人は、心が折れてしまったのです。フランクルは、ある外国の作曲家Fのエピソードを書いています。

 作曲家Fは、奇妙な夢をみたとフランクルに打ち明けます。「知りたいことがあれば、何でも教えてくれる」と「ある声」が、夢の中に登場してきたというのです。

 作曲家Fは、戦争がいつ終わるかと、つまり、収容所からいつ解放されるのかを聞きました。「ある声」は「5月30日」だといいます。

 「5月30日」が近づいてきます。しかし、収容所にもたらされる情報では
「5月30日」が終戦になる可能性は極めて低い状況でした。作曲家Fは、5月29日に突然高熱を出し、予言の「5月30日」にひどい譫妄(意識障害)状態となり意識を失い、翌、5月31日、亡くなるのです。

 作曲家Fにとって、5月30日が未来の締め切りでした。その時、彼から未来は奪われ、存在しなくなり、残ったのは絶望でした。それは「楽観主義」ではなく「悲観主義」といえる考え方です。

未来を信じると、人は強くなれる。

 自分の置かれた厳しい状況を少しでも楽観的にとらえるためには、未来に希望を発見することです。未来は変えられるのだと信じることです。 

まっつん
まっつん

 未来への希望を失わなかった人たちは、その場に「生きる意味」を見い出し、ナチスの強制収容所を生き抜いていったのです。だから、どんな辛い時にも、未来に希望を見い出そうと、フランクルは主張します。

 では、どんな根拠があって「どんな時にも未来に希望がある」といえるのでしょうか。

 フランクルは自著『それでも人生にイエスと言う』(春秋社)のなかで、「リヴァイアサンの黒人」というエピソードを記し「未来への希望」を語ります。

 「リヴァイアサン」とは船の名です。

 ある日、リヴァイアサン号は、無期懲役の黒人を囚人島に移送するため、海の上にいました。その航海の途中で火事が発生します。罪人は救助活動にあたるように手錠を解かれます。 すると10人もの命を救います。その働きが認められて、罪人は「恩赦」、つまり無期懲役の罪を許されるのです。

 この逸話を紹介して、フランクルはこう書いています。

フランクル
フランクル

「どんなことがまだ自分を待ち受けているかは、だれにもわからないのです。 ちょうど、十人の命を助ける仕事が「リヴァイアサン」の黒人を待ち受けていたように、どのような重大な時間が、 唯一の行動をするどのような一回きりの機会が、まだ自分を待ち受けているのか、だれにもわからないのです。」

『夜と霧』(V・E・フランクル みすず書房)

 フランクルが言いたことは、未来は決まっていないのだから、そこに可能性があり、希望があるということです。

 未来に絶望してしまう人は、「自分の未来はもうダメだ。いいことなんてひとつもない」と、確定してしまいます。そこに「認知の歪み」があります。「認知きの歪み」とは、冷静に論理的に考えると筋の通っていないものの見方・考え方です。

まっつん
まっつん

 未来は決まっていません。今を変えれば、未来は、どんどん変わっていくものです。それなのに、自分の未来はもうダメだと決めつけてしまうのは、非論理的な思考です。「確定した未来」など存在しないのです。

 だから、今の状況がどれだけ辛くても、常に未来は変わる可能性を秘めているため、どんな時にも、未来への希望はあるといえるのです。

「一寸先は闇」といいますが、「一寸先は光」も真実です。

 フランクルは、どんな時でも、未来に希望はあると考え、その希望を「生きる力」に変えて、ナチスの強制収容所での恐ろしいまでの長期戦・持久戦に勝利したのです。

 そこで原則の3です。

原則3
未来を信じ抜く「発見的楽観主義」でいこう!

 新型コロナウイルスの感染拡大が世界的に続いています。

 その事実にだけ焦点を合わせると不安が大きくなります。でも、歴史的に考えると、どんなパンデミックも必ず終息しています。

 だから未来に希望はあります。

 未来への希望を信じて、ストレスに負けず、この逆境を乗り越えていきましょう。 

(文:松山淳)

・原則1:自分にコントロールできないことは悩まない!

・原則2:不安は不安のまま、やるべきことに集中する!


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