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上司にカリスマ性はいらない

カリスマ上司になんてならなくていい

第1章-3 カリスマ上司になんてならくていい

 「カリスマ性」が必要だという「リーダー論」を目にすることがあります。カリスマ・リーダーという言葉が、ビジネス雑誌などに登場する時代ですので、カリスマと呼ばれることに憧れを抱く人もいます。

 しかし、上司にカリスマ性なんていりません。

 カリスマは、組織にとって有害なのです。

 カリスマと呼ばれるリーダーが、社を去った後、業績が極端に落ち込むケースがあります。これは、仕事に関する意思決定をカリスマ・リーダーに委ね、多くの社員が「依存」状態にあったことを示しています。

 人は「依存」に慣れると、思考停止をおこし、指示を待つようになります。カリスマが気にいるような意見や言葉だけを用意するようになってしまいます。つまり、「カリスマ」のもとでは、自ら考え動く「自立型社員」が育たないのです。

 だから、部下を「依存」させてはいけません。

 部下の「自立」を支援するのです。

 そのためにこう考えてみて下さい。

 「部下は力をもっている。〝力がないからつけてやる〟ではなく、〝部下のもてる力を解放する〟のだ」と。

 そう思い接していると、部下の行動がかわっていきます。なぜなら、あなたの「信頼」が部下に伝わるからです。

「信頼されている」と感じることは、人の心にとって何よりの「恵み」です。

 人に「恵み」を施すのに「カリスマ性」なんていりませんね。 「カリスマ」は結果であり、求めるべきものではないのです。

 『リーダーシップ入門』(著 金井壽宏 日本経済新聞社)に興味深いデータがあります。図表をご覧になって下さい。

すばらしいリーダーの特性として頻度高くあげられた言葉

1993年
調査
1987年
調査
2002年
調査
日本
サンプル
正直な
(honest)
87%83%88%67%
前向きの
(forward-looking)
71%62%71%83%
わくわくさせてくれる
(inspiring)
68%58%65%51%
有能な
(competent)
58%67%66%61%

 「感動を呼ぶリーダーの条件は何か」と尋ねたところ、米国では「正直な(honest)」が1位だったのです。このデータを見たとき、私は違和感を覚えました。「強力なリーダーシップ」とか、「明確なビジョンを示す」とか、それこそ「カリスマ性」が上位にくるものと思ったからです。

 いかがでしょうか。「部下は上司に〝正直さ〟を求めている」と考えたことがありますでしょうか。

 米国のある調査では、マスコミに登場し華々しく脚光を浴びるような「カリスマ性」を備えたリーダーに率いられた企業は、長期にわたって業績を維持できなかったという研究結果があります。その反対に、成長を続けた企業のリーダーはとても「謙虚」な性格でした。

 かつて、戦争で焼け野原となった状態から、世界史に残る奇跡的な復興をとげた国がありました。経済成長は三十年近く持続し、米国に次ぐ世界第二位の経済大国になりました。

 その国の人々は自己主張が苦手で、和を重んじ、とても「謙虚」な人たちでした。「お天道様が見ている」という言葉をよく口にし、職人としての誇りや正直であることを大切にし、仕事で手を抜くことを「恥」と思う、見かけと「矛盾」する強い意志を持ち合わせていました。

その国とはどこでしょうか。

そうです、日本です。 

 カリスマであることよりも謙虚に正直に、人として正しく生きることが、最後の最後は人から信頼される上司になるのだということを、ここに再確認したいと思います。

「どう見られるか」ではなく、「どうあるか」です。

(著:松山 淳)

上司の自問自答
1. 私は、「カリスマ上司」になりたいのだろうか。

2. 私は、正直さを馬鹿にしていなかっただろうか。

3. 私は、上司としていつも正直でいるだろうか。


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