ジョン・コッターの「変革の8段階プロセス」

ジョン・P・コッター  変革の8段階プロセス

「変革の8段階」が生まれた時代背景

 ピーター・センゲの『最強組織の法則』が出版された1990年の翌年から、日本はバブル崩壊の局面に突入していきました。そして「失われた20年」と呼ばれる景気の安定しない時代を経験することになります。

 大企業の経営悪化が露呈し「リストラ」が日常言語と化しました。企業はコストカットに奔走し、否応なしに「企業変革」を迫られてれていきました。

 これと似た状況を米国は、1980年代初頭の不景気をきっかけに一足先に経験していました。その時代の米国企業は、経済大国となった日本企業の勢いに押され劣勢を強いられていました。経営再建のためだけでなく、企業の競争優位性を確保するために、多くの企業が「変革」に取り組んでいたのです。

 これらの企業変革の事例(100社以上)をつぶさに研究したのが、リーダーシップ研究で有名なジョン・P・コッター(John P. Kotter)です。

ジョン・P・コッター(John P. Kotter)

ジョン・P・コッター(John Paul Kotter)
ジョン・P・コッター
(John Paul Kotter)
[Dr. John Kotter of Harvard Business School]
Keiradog – Own work

 コッターは、マサチューセッツ工科大(MIT)とハーバード大を卒業した後、1972年からハーバード・ビジネス・スクールで教鞭を執りました。33歳の若さで正教授に就任。当時、最年少の教授就任となり、その栄誉を讃えられた人物です。コッターの研究テーマは「リーダーシップと変革」です。

 『リーダーシップ論』(ダイヤモンド社)に収録された論文『企業変革八つの落とし穴』(Leading Change:Why Transformation Efforts Fail)は、リーダー研修でよく使用され、組織変革を導く人々を刺激してきました。

 「変革の8段階プロセス」はコッターの理論として、日本でもよく知られています。


コッターの「変革の8段階プロセス」

 「変革の8段階プロセス」の8段階の一覧は次の通りです。

  • 第1段階 緊急課題であるという認識の徹底
  • 第2段階 強力な推進チームの結成
  • 第3段階 5分で話せるビジョンの策定
  • 第4段階 徹底したビジョンの伝達
  • 第5段階 ビジョン実現の障害を取り除く。
  • 第6段階 短期的成果を上げるための計画策定・実行
  • 第7段階 改善成果の定着とさらなる変革の実現
  • 第8段階 新しいアプローチを根づかせる

 それでは、ここから、コッターの論文集である『リーダーシップ論』(ダイヤモンド社 1999年初版)を参考に、「変革の8段階プロセス」の各段階について説明していきます。

『リーダーシップ論』(ダイヤモンド社)
『リーダーシップ論』
(ダイヤモンド社)

第1段階 緊急課題であるという認識の徹底

 変革の初動段階で「危機感の醸成」が不十分なプロジェクトは成功しない。

そうコッターは断言しています。人を動かすのは「現状への危機感」と「未来への希望」という考え方があります。

 「このままやっていけばうまくいく」と未来に希望を感じることで、人は行動を継続します。また、「このままじゃまずいよね」と今に危機感を抱くことで、人は重い腰を上げて動き出します。

 コッターによれば、変革の研究対象となった企業の過半数が、「危機感の醸成」に失敗し、この第1段階でプロジェクトが終わってしまっていたのです。

 「危機感」が組織にうまく浸透しないと、必ず「どうして、変えなくなくちゃいけなんだ」と、反対する人間の意見が大勢を占めるようになり、変革は頓挫することになります。

 ですので、変革を導くには「リーダーシップ」が求められるのですね。マネジャーではなく、リーダーの登場です。コッターは、こう述べています。

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センゲ

「マネジャーの使命は、リスクを最小限にし、現行制度をうまく機能させ維持することである。一方、変革の実行のためには、新しい制度をつくり出す必要があり、またそのためにはリーダーシップが必須となる」

『リーダーシップ論』 (ジョン・P・コッター ダイヤモンド社)p148

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まっつん

コッターは、「リーダーシップとマネジメントの違い」でも有名な論文を書いています。マネジメントが「現状の秩序を維持すること」であるならば、リーダーシップは「未来に向けた変革」がその仕事です。

参考記事:「リーダーシップとマネジメントの違い」

COLUMN for LEADERS 006「リーダーシップとマネジメントの違い」 リーダーシップとマネジメントの違いとは

成功した変革に共通すること。

 企業変革は、組織で働く人たちの協力なくして進めることはできません。コッターが調査を積み重ねていくと、変革を成功させる企業に共通する特徴があることに気づきました。コッターは、こう述べています。

変革の成功に共通すること
「それは推進チームの社員あるいはグループが、不愉快ともとれる事実、すなわち、新たな競合相手、利益率の悪化、市場シェアの低下、収益の伸び悩み、売上成長率の鈍化など、競争力の低下を示すさまざまな指標についていつでも率直に議論できるよう配慮していたということである。」
『リーダーシップ論』 (ジョン・P・コッター ダイヤモンド社)p149

「心理的安全性」(Psychological safety )

 グーグルが成功するチームに共通する要素として「心理的安全性」(Psychological safety )を指摘し、話題になっています。「心理的安全性」とは、チームの中でメンバーが、自分の思ったことをいつでも自由に口にできると、感じてることです。これはコッターが指摘したいつでも率直に議論できるよう配慮していた」に通じますね。

 「危機感」が高まると、変革に成功する側と反対する側が混在し、「これは言ってはまずいのではないか」「この数字を見せたら、あの人が怒るのではないか」などと「心理的安全性」が低下していきがちです。言いたいことが言えない雰囲気が、組織に生まれます。これでは、変革は尻つぼみとなります。

 ですので、変革を導くリーダーあるいはチームは、オープン・コミュニケーションをとれるように配慮するのですね。「率直な議論」が、変革成功のポイントです。

75%のマジック

 ちなみに、コッターは、危機感の醸成において「75%」という数字をあげています。経営幹部の75%が「このままではダメだ」と本当に「危機感」をもっていなければ、組織変革は失敗するというのです。10人いたら8人ですね。

 それほど変革の現場において「危機感」は重要なものであり、組織のあらゆるコミュニケーション・チャネルを通じて「危機感」を醸成していくことが、変革を成功させる「前提条件」とも言えるのです。


第2段階 強力な推進チームの結成

 変革が起動すると「プロジェクト・チーム」が結成されます。それは多くのケースで1人か2人で始まると、コッターは言います。この小さなチームがどれだけ力を持てるようになるかが、変革成功の鍵です。

 変革が成功するケースでは、プロジェクトが進展していくにつれ「変革推進チーム」のメンバーが増えていきます。人数が増えていくことは、「変革」の重要性・必要性が組織で認識され始めたことを意味します。「うちの会社も変わらないと、このままじゃまずいんだね」と、第1段階の「危機感の醸成」がうまくいっている証です。

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センゲ

「変革が成功するときは、会長、社長、あるいは、本部長に加え、5人、15人、あるいは、50人の社員が団結し、改革を通じて最高の業績を実現するということを誓い合っているのだ」

『リーダーシップ論』 (ジョン・P・コッター ダイヤモンド社)p150-151

 この第2段階での落とし穴は、「変革推進チーム」を軽視することです。

 経営陣がチームに参加しないことは、初期段階ではよくあることで、それが「変革チーム」を軽く見ていることです。経営上の判断に権限のある人間が参加しなければ、迅速な意思決定はできません。チーム・メンバーの増加もできません。

 変革を成功させる企業は、「変革推進チーム」重視しています。経営陣がそれに参加し、一枚岩となってチームをサポートしています。チームメンバーの意志統一を図り、団結力を高めるために、会社から離れ合宿形式でミーティングをよく行います。

日本航空の経営再建での「リーダー教育」

『JALの奇跡』(大田嘉仁 致知出版社)
『JALの奇跡』
(大田嘉仁 致知出版社)

 京セラ創業者稲盛和夫さんが主導した「日航再生」でもそうでした。再建が始まるとすぐに、日本航空の経営幹部、上級管理職を対象に「リーダー研修」を徹底して行いました。「嘘をつくな」「正直であれ」「人一倍努力せよ」。そんな人としての基本的な道を説く「フィロソフィー教育」も行われました。

 この「リーダー研修」によって経営陣の意識改革が成功し、「危機感の醸成」と「変革推進チームの重要性」が認識されたわけです。

 変革推進チームを、どんなメンバーで構成するかは、変革成功の大きなキー・ポイントとなります。


第3段階 5分で話せるビジョンの策定

 成功する変革チームは、短い時間で説明できる魅力的なビジョンを持っていました。ビジョンがあるのは、もちろんですが、ここでポイントになるのは、「短い時間で説明できる」です。

 長い時間をかけて、例えば、30分も1時間も話さないと伝わらないのは、ビジョンとは言えません。

「ビジョンとは、企業がこれから進むべき方向を明確に示すもの」

 コッターは、変革についてインタビューをした時に、ビジョンについて長々と話す多くの人たち出会ったそうです。それが失敗した変革における特徴でもありました。

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センゲ

失敗した改革では、たいてい計画や方針やプログラムばかりが羅列されていて、ビジョンが欠けている。企業によっては、厚さ10センチにも及ぶ変革プログラムについての冊子を社員に配布しているところもあった。気が遠くなりそうなその分厚い読み物のページをめくると、手続き、目標、方法、最終期限などについてこと細かく記載してあったが、このプログラムが導く先は何であるかについて明確で説得力のある説明は、いっさい見当たらなかった。

『リーダーシップ論』 (ジョン・P・コッター ダイヤモンド社)p154

ビジョンは5分で説明せよ。

 組織変革の成功には、シンプルなビジョンが欠かせません。シンプルには、「簡潔である」と、「わかりやすい」という意味があります。まさに簡潔明瞭なビジョンが必要になるのです。

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センゲ

「5分以内でビジョンを他の人に説明できない、あるいは相手から理解と関心を示す反応が得られないであれば、変革プロセスのこの段階を完了したとはいえない」

『リーダーシップ論』 (ジョン・P・コッター ダイヤモンド社)p154

 第3段階をクリアするためには、5分で説明できるビジョンが求められます。


第4段階 徹底したビジョンの伝達

 5分で説明できて、5分で人を魅了するビジョンがあっても、社員に伝わらなければ変革は成功しません。

 変革に向けた社内説明会が開催され、社長が社員の前で一度だけ話したとか、朝礼で部長が変革プロジェクトについて触れたとか、社内SNSで周知徹底したとか、その程度のアクションで変革が成功すると考えている企業が多く、第4段階で失敗しています。

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センゲ

「成功を収めたといえる変革においては、役員がビジョンを広く知らしめるためにありとあらゆる既存のコミュニケーション手段を利用していた。(中略)ここでの基本原則はいたって単純である。つまり、思いつくかぎりのコミュニケーション手段を利用すること、それもさして重要でない情報の伝達の媒体を活性化することである。

 さらに重要なことは、大規模な変革を成功させた企業では、役員たちが「歩く広告塔」になっていたことである」

『リーダーシップ論』 (ジョン・P・コッター ダイヤモンド社)p154

MBWA」(Management By Walking Around)

 マネジメントのひとつの手法に「MBWA」(Management By Walking Around)がありますね。

 社長が社長室にこもって、社員を呼びつけるのではなく、社長が自らが社員と会話できるように、日頃から職場を歩き回ることです。これは社長に限らず、役員でも管理職でも同じことです。職場の様子を観察したり、リーダーの考えていることを伝えたり、何気ない会話からビジネスのヒントを得たりするのです。

 コッターは、変革プロジェクトが進行していく最中で、決して顧客の関心ごとに目を向けなかったような「工場長」が激変して、「歩く広告塔」になってビジョンの周知徹底を行った事例をあげています。

 こうして変革チームのポジションの高い人が行動することで、「本気度」が組織に伝わっていきます。資料が配られて、偉い人がスピーチして「はい終わり」ではうまくいきません。社員は上層部の「本気度」をいつも見ているのです。

 変革を成功させるためには、言葉だけでなく、行動することです。


第5段階 ビジョン実現の障害を取り除く。

 変革が進み、経営陣の「本気度」が伝わり、ビジョンを理解する社員が組織に増えてくると、社員の行動にポジティブな変化が見られるようになります。現場からアイディアが上層部にあがってきたり、部署の中で自主的な会合(飲み会を含めて)が開かれたりします。

 ですが、企業規模にもよりますが、それでも抵抗勢力は存在します。口では変革に賛成しているのですが、ビジョンにそった行動をとらないのです。

 例えば、「顧客への丁寧なサービスは社内から始まる」といった考え方で、「社員同士も社内で丁寧で落ち着いたコミュニケーションを取り合おう」と決めたとします。ですが、すぐカッとなって、いつも声を荒げて話す、ビジョンの実現を妨害するような人がいるのです。

 この人物が部長や役員クラスで影響力が大きい時には、変革の大きな障害になります。

 ビジョンを守らない人物をどうするか?

 ここでも経営陣、変革推進チームの「本気度」が試されます。コッターは、反対勢力(ある部長)に対して断固な態度を示さなかったが故に、変革が頓挫してしまった例をあげています。

 ですので、組織に広まるポジティブな変革の気運を台無しにする人がいたら、人事異動を行うなどして「本気度」を示すべきです。それもビジョンにそった経営上の意思決定です。

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センゲ

「処分するというアクションを避けてはならない。社員のやる気を引き起こし、変革プログラムに対する信頼を維持するためには必要なのである」

『リーダーシップ論』 (ジョン・P・コッター ダイヤモンド社)p161

 ビジョン実現の障害となるのは「人」だけでなく、社内で古くから続けられている時代遅れとなった「制度」ということもであるでしょう。

 いずれにしても、変革の火が消えないように権限のある経営陣が障害を取り除き、社員をサポートすることが、変革の現場で欠かせないのです。


第6段階 短期的成果を上げるための計画策定・実行

 変革は着々と進むけれど、業務上の成果はなんら変わらない。これでは変革プロジェクトが頓挫してしまいます。

 「かけ声だけ立派で、何にも成果が出ないじゃないか」

 そんなセリフで、抵抗勢力を勢いづかせてはいけません。変革の障害になる人たちを黙らせるためにも、明白な成果(新製品開発、顧客満足度など)が短期的に出るように、それらを予めプロジェクトに意図的に組み込んでおきます。

 率直な言い方をすれば、計画的に、短期的な成果のあがる「仕込み」をしておくわけです。変革の成果がすぐに見えれば、変革の追い風となり、抵抗勢力を静かにさせることができます。

 日産再建で、カルロス・ゴーン元CEOが行った「V字回復」は、これに当たります。数字を上手に見せることで「明白な成果」を示したのです。

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センゲ

「順調に進んだ変革を見ると、経営幹部は、明確に業績が改善しうるような手段を積極的に探し、年度計画に目標を設定し、その目標を達成した社員を表彰し、昇格させ、報償さえ与えている。」

『リーダーシップ論』 (ジョン・P・コッター ダイヤモンド社)p162

 目標を設定し、その達成を基準にした社員の表彰・昇格は、経営陣の判断でできることです。変革の成果が確かにあがっていることを、社内に示すことで、「かけ声だけに終わっていない」ことを社員に理解してもらえます。

 短期的な成果の「仕込み」が、ポイントとなるのです。


第7段階 改善成果の定着とさらなる変革の実現

 コッターは、「さまざまな変化が企業文化に深く根づくには五年から十年は必要」(p163)と主張してます。ですので、変革の成果が出始めても、全てが終わったような「早すぎる勝利宣言」をしないように戒めています。

 「変革は成功しました」と「勝利宣言」をすると、反対勢力が「変革プロジェクトは、これで終わりですね」と、幕引きを図ろうとするのです。これでは変革以前の組織風土に逆戻りする可能性が出てきます。

 では、どうすればいいのでしょうか?コッターはこう言います。

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センゲ

「変革を成功に導くリーダーは、勝利宣言する代わりに、短期間で結果を出したことで得られた信頼感を追い風に、より大きな問題に立ち向かう。」

『リーダーシップ論』 (ジョン・P・コッター ダイヤモンド社)p162

 1年や2年で終わるような「企業変革」はありません。もし終わるとしたら、それは「真の変革」とは言えないものです。

 変革リーダーは、複数の変革プログラムを準備しておき、二の矢三の矢を放つ努力を続けるのです。


第8段階 新しいアプローチを根づかせる

 変革の成功を5年から10年スパンで考えるコッターは、いかに変革の成果を組織に根づかせるかを重視します。そのために、2つのアプローチを推奨しています。

❶変革の因果関係を社員にアピール
❷次世代の経営陣を啓蒙する

変革の因果関係を社員にアピールせよ!

 ❶の「変革の因果関係」とは、社員が業績の改善などの成果が、数々の変革の打ち手によって成し遂げられたものだと理解することです。「最近、売上がよくなったけど、景気がよくなかったからね」では、新たな行動様式があっという間に風化してしまいます。

 人は、よくなったことの原因を理解できれば、それを続けようと考えます。ですので、「変革の因果関係」を社員にアピールすることが重要になるのです。

変革を理解した次世代リーダーを育成せよ!

 ❷変革を導いた経営陣が変わる際には、十分な時間をかけて変革の重要性を説き、引き継ぎを行います。経営陣は権限をもっています。そして、自分のカラーを出すために、過去の偉業を無視して、新たな、というより「自分の偉業」をつくりたがります。するとこれまで行ってきた変革が、水の泡となるのです。

 組織変革を行っている時に、次の担い手となれる次世代リーダーを育成しておくことは、変革が打ち上げ花火に終わらないための重要な施策となるのです。


「8段階のプロセス」はループする。

 コッターの言う「8段階のプロセス」は、あくまで理論として、わかりやすくするために8つフェーズをつくり順を追ったものになっています。実際の組織変革の現場では、順番通りに進むことはなく、いくつかの段階が同時進行となるのが当たり前ですし、後戻りすることも日常茶飯事です。

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まっつん

 何かを変えようとすることは、大きなパワーがかかります。通常の仕事以外に仕事が発生して、経営陣も変革チームも、そして社員も、ストレスを抱えることになります。リーダーもフォロワーも、どちらも疲れるのです。

 それでも、組織が変革を行うのは、時代の流れがますます速くなっていて、会社の存続に「変革」が必要不可欠になっているからですね。

 5年の変革プロジェクトが終了した時には、次の新たな時代が来ています。ですから、「変革」とは組織のなかで常にループさせていく仕事なのです。

 リーダーにとって「変革」とは、「するとよい」ではなく、「しなければならない」仕事と言えます。そこで、組織変革を導くリーダーたちが、よく「座右の銘」にしている言葉を最後に記し、この稿を終えたいと思います。

 アメリカの神学者ラインホールド・ニーバーの言葉です。

「ニーバの祈り」
神よ、
変えることのできるものについて、
それを変えるだけの勇気をわれらに与えたまえ。
変えることのできないものについては、
それを受けいれるだけの冷静さを与えたまえ。
そして、
変えることのできるものと、変えることのできないものとを、
識別する知恵を与えたまえ。

O God, give us
serenity to accept what cannot be changed,
courage to change what should be changed,
and wisdom to distinguish the one from the other.

(大木英夫 訳)

(文:松山淳)