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木村沙織主将に学ぶ自分らしいリーダーシップ

コラム106木村沙織主将に学ぶ自分らしいリーダーシップ

背中を見せるリーダー木村沙織

 2015年、翌年に開催されるリオデジャネイロ夏季オリンピック出場に向けて、様々な競技で、日本代表選手たちが世界の強豪を相手にしのぎを削っていました。

 女子バレーボールも2015年8月、日本でワールドカップが開催されていました。女子バレーボールの監督は、タブレット端末を片手に指揮する真鍋政義監督。2012年のロンドン・オリンピックでチームを「銅メダル」へと導きました。

 女子バレーボール日本代表チームのキャプテンは、17歳から日本代表入りして活躍してきた木村沙織選手です。長らく日本のエースでしたね(2017年に引退)。

 2015年W杯の時、試合の合間に流れる紹介映像で、木村選手は、キャプテンとしての自分について、こんなことを口にしていました。

木村沙織
木村沙織

「自分は言葉で影響力を発揮できるタイプではないので、背中を見せていきたい」

 試合後のインタビューでの受け答えを見ていると、木村選手が「言葉を巧みに操るタイプではない」とわかります。

 自分の思い・考えを上手に表現すること、また言葉を通して、リーダーとして効果的にチーム・メンバーを感化することに苦手意識があり、コンプレックスを抱いているように感じられました。

 というのも、上の言葉を口にした時、木村選手はちょっと涙目になっていたのです。

「自分はリーダー・タイプではない」

そう、悩んだ時期もあったのではないでしょうか。

まっつん
まっつん

 高校でも大学でも部活の主将(キャプテン)をしていて、「リーダーに向いてない」と悩む人も多いでしょう。私自身、大学4年の時、体育会ラグブー部で主将を務め、自分でいいのだろうか、と悩んだ時もありました。そんな私が、今は仕事で研修講師としてビジネス・リーダーの育成にあたっています。「自分はリーダーに向いていない」と悩んでいる人たちは、思った以上に、多くいます。


リーダーシップとは「影響力」

 リーダーシップ理論において、リーダーシップを日本語でひとことで表現すると「影響力」と、よく言われます。

 リーダーが、他者に「影響力」を発揮しながら、目標を達成していくプロセス、また、その力がリーダーシップです。

 では、どのように「影響力」を発揮するのか?

 それは人の個性が大きく関わってきます。木村選手がいう「背中で見せる」は、古いリーダーシップ・スタイルのようでありながら、部活でも会社でも、今も多くのリーダーが実践していることです。

 多くのキャプテンたちは、チームを勝利に導くプレッシャーを感じつつ、苦しい思いをしながらチームを率いています。その時、リーダーシップ・スタイルは、「自分らしく」でOKであり、「背中を見せる」は、木村選手の「個性」「らしさ」が発揮される有効的なリーダーシップだと考えられます。

言葉は少ない。寡黙なタイプ。でも、誠実で、行動力がある。

 それがリーダーの「個性」「らしさ」であるなら、世間でいわれる「優れたリーダーの条件」などにこだわらず、「個性」「らしさ」を十二分に活かすことのほうが大事です。リーダーのもつ「人間性」全体からメンバーは影響を受けるからです。

 米国のある機関の世界的な規模のリーダーシップ調査では、リーダーに求める特性として、「正直な(honest)」が第1位でした。

 そう言われてみると、どれだけ有能であっても、嘘をつくようなリーダーにはついていきたくないものです。

 木村沙織さんの人柄を言葉にする時、「正直な(honest)」は、ぴったりではないでしょうか。だから、木村キャプテンの背中を見てついていこうと、メンバーは思うわけです。

 決して「うまい言葉で影響を与える」だけがリーダーシップではありません。


自分の「個性」「らしさ」を信頼する!

 そう考えると、「個性」「らしさ」とは、その人の「強み」になることがわかります。

まっつん
まっつん

 木村キャプテンには、木村キャプテンの「強み」があります。木村選手の「強み」は「雄弁さ」ではなかったかもしれません。でも、「正直」「真面目」「場をなごませる」など、木村選手の個性にもとづいた「強み」は、たくさんあります。

「雄弁さ」が、チームを率いるリーダーの絶対条件ではありません。自分の個性、強みに着目し、それを肯定し、大切にし、活かしていくことが自分らしいリーダーシップにつながっていくのです。

 昨今、「オーセンティック・リーダーシップ」という考え方が、日本でも広がっています。 「オーセンティック(Authentic)」は、「本物である」「信頼できる」「真正の」という意味です。つまり、「本物の自分」を信頼するリーダーシップが、大きな力を発揮するという考え方です。

オーセンティック・リーダーシップの定義

 オーセンティック・リーダーシップとは、「ありのまま」の自分である「自分らしさ」を軸にし、自分なりの価値観を原動力として発揮される倫理観をともなったリーダーシップのこと。

 「個性」「らしさ」を発揮するとは、「本物の自分」を信頼することです。「本物の自分」を信頼すれば、想像以上の力を発揮できます。だから、その人らしさ・個性が、「強み」となるのです。

 木村キャプテンが、「リーダーは雄弁でなければならない」という「リーダーの条件」とらわれてしまったら、「背中を見せる」という木村キャプテンらしいリーダーシップ・スタイルを確立できなかったでしょう。

 ですから、リーダーシップを発揮しようと思った時、自分に宿る「個性」「らしさ」が「強み」になるとシンプルに考えればいいのです。

 経営学者P・F・ドラッカーに、こんな言葉があります。

「自らの強みを総動員しなければならない。強みこそが機会である」
「成果をあげるためには、人の強みを生かさなければならない。弱みを気にしすぎてはならない」

『プロフェッショナルの条件』(P・F・ドラッカー ダイヤモンド社)より

 

 「弱み」を改善しようとするのではなく、まず「強み」を成長させようと考えるわけです。W杯のテレビ中継で、解説の人たちが「キャプテンになって木村選手は変わった」と、繰り返し言っていました。

 「地位が人を育てる」といいます。

 木村選手はキャプテンになって、人間的にもプレイヤーとしても大きく成長したのです。木村選手がそうできたように、自分の「個性」「らしさ」そして「本物の自分」の発揮する力を信頼すれば、私たちもリーダーとしてきっと成長していくことでしょう。

 リオデジャネイロ・オリンピックで、残念ながらメダルに手は届きませんでした。木村キャプテンは、こんな言葉を残しています。

木村沙織
木村沙織

「自分たちが目標としているところを達成できなくてすごく残念ですけど、最後まで良いチームだったなと思いますし、このチームの主将をできて幸せに思っています」

『日刊スポーツ』(2016.8.18 Web版)

 木村選手の「個性」「らしさ」がにじみでた、素晴らしい言葉ですね。

 リーダーは、自分の「個性」「らしさ」を大切にしましょう。 

(文:松山淳)