自己分析「オンライン個人セッション」〜性格検査MBTI®を活用して〜

上司は自分らしいリーダーシップを発揮すればいい

上司は自分らしいリーダーシップを発揮すればいい

 

あなたらしいリーダーシップが一番

 リーダーシップという言葉には、「リーダーのカリスマ性で他人をぐいぐい引っぱる」というイメージがあります。これは「カリスマ型リーダーシップ」といわれるスタイルであり、多くあるリーダーシップ・スタイルのひとつです。

上司にカリスマ性はいらない。

 ただ、このリーダーシップ・スタイルだと「カリスマ性」がないと、リーダーシップを発揮できなことになってしまいます。誰もが「カリスマ性」をもっているわけではないので、これは困ります。そこで、上司がリーダーシップを発揮しようとする時にあ、カリスマ性を求めるイメージを払拭してもらいたいのです。

まっつん
まっつん

 カリスマとは結果としてなるものです。成果をあげ、チームをまとめ、実績を積んでいってカリスマになるのです。ですから、リーダーにとってカリスマ性は、最初に身につけようとする資質ではありませんし、現実には、カリスマ性だけでは他人を率いていくことはできません。

 サンタクララ大学リービー経営大学院のリーダーシップ論の教授であったジェームズ・M・クーゼス(James M. Kouzes)は、「感動を呼ぶリーダーの条件は何か」について全世界を対象に調査したことがあります。結果は以下の通りです。

部下は上司に「正直さ」を求めている。

 意外ではないでしょうか。なんと「正直さ」が1位なのです。

1993年
調査
1987年
調査
2002年
調査
日本
サンプル
正直な
(honest)
87%83%88%67%
前向きの
(forward-looking)
71%62%71%83%
わくわくさせてくれる
(inspiring)
68%58%65%51%
有能な
(competent)
58%67%66%61%
『リーダーシップ入門』(著 金井壽宏 日本経済新聞社)

優れたリーダーほど「控えめで謙虚」。

 『ビジョナリー・カンパニー2』(ジェームズ・C・コリンズ 日経BP社)には、好業績を長期に渡って維持したリーダーの特性が示されています。これを作者のコリンズは「第五水準のリーダー」と呼んでいます。

 作者のコリンズ氏は、優れたリーダーたちが皆、カリスマからは程遠い「謙虚で地味な性格」であったことを、驚きとともに記しています。

良い企業を偉大な企業に変えるために必要な型を発見したとき、われわれはおどろき、ショックすら受けた。
派手なリーダーが強烈な個性をもち、マスコミで大きく取り上げられて有名人になっているのと比較すると、飛躍を指導したリーダーは火星から来たのではないかと思えるほどである。万事に控えめで、物静かで、内気で、恥ずかしがり屋ですらある。個人としての謙虚さと、職業人としての意思の強さという一見矛盾した組み合わせを特徴としている。

『ビジョナリー・カンパニー2』(J・C・コリンズ 日経BP社)p18

 つまり、リーダーシップとは、一瞬で人を魅了するカリスマ性をもつ、ある特定の人だけが発揮できる特殊な能力ではないのです。自分にできる、自分らしいリーダーシップを発揮してけばいいのです。

上司に求められるリーダーシップとは、日々、「人として大切なこと」を焦らず、たゆまず、地味でも自分らしく着実に実践していくことに他なりません。

自分らしいリーダーシップは自己理解から始まる。

 「人として大切なこと」とは、親や小学校の先生が教えてくれたようなシンプルなことです。リーダーとして難しい局面に立つ時、最後の最後、頼りになるのは、幼い頃から自分のからだに染みこんでいるシンプルな教訓なのです。

「嘘をつくな」「他人に迷惑をかけるな」「人の2倍努力しろ」「感謝のできる人間になれ」「人の話しは最後まで黙って聞け」。

 そんな、これまであなたが生きてきたなかで、学びとった「これだけは譲れない」という価値基準を明確に意識し行動していけば、それが「自分らしいリーダーシップ」につながります。

オーセンティック・リーダーシップ

 昨今、「オーセンティック・リーダーシップ」という概念も注目されています。これは「自分らしさ」を大切にするリーダーシップです。「オーセンティック(Authentic)」の意味は、「本物である」「信頼できる」。

 誰かの真似をする「偽りの自分」(False self)」ではなく、「本物の自分」(Authentic Self)を信頼して、自己の価値観にもとづいて発揮されるのがオーセンティック・リーダーシップです。

 そこで、まずは自分をよりよく理解すること、「自己理解」を深めることが、リーダーにとって大事になります。

まっつん
まっつん

リーダーシップが語られる時、「部下をどう動かすか」「人をどう説得するか」「問題をどう解決するか」と、とかく自分以外の何か他のものにフォーカスされがちです。ですが、自己理解を深め、自分の強み・弱みを分析し、ぶれない自分軸つくることがリーダーシップを強化する最優先課題となります。

 それでは、次に、事例を述べながらリーダーシップと自己理解について考えていきましょう。


事例1:年上の部下が上司を軽視している

 某メーカの管理部門に勤務する山本課長(仮名40代)には5人の部下がいます。その内、2人は年上です。抜擢人事で先輩たちを飛び越え山本さんが課長に昇進したのです。

 この抜擢人事で、職場の雰囲気が次第にギスギスするようになっていきました、部長に相談しても「そこをマネジメントするのが課長の役割だろ、がんばれ!」と、精神論で片付けられてしまいます。

性格検査(MBTI®)で自分らしさを把握する

山本課長
山本課長

「自分にはリーダーシップがないのです。平社員に戻りたい」

 山本課長は、そう私に漏らしました。声もからだも小さく、地味な印象を受ける人でした。私は山本課長の性格検査(MBTI®)を行い、結果を示しました。

 性格検査MBTI®は、全世界の企業でリーダーシップ開発の際に活用されています。人の「生まれ持った性格」を浮きぼりにするのが最大の特徴です。「自分らしさ」とは何なのか、その人の性格上の「強み・弱み」を理解することができます。

 検査の結果をもとに、山本課長の「強み・弱み」、また「上司として大切にしていること」について話し合いました。山本課長は、事実ベースで客観的にものごとを捉える心のパターンをもっていました。

 さらに、年上の部下2人の行動特性もわかる範囲で列挙してもらいました。本人は最初「よくわらない」と言っていたのですが、1日の仕事の流れをイメージしてもらうと、年上の部下2人の行動特性を実によく把握していることが判明しました。

部下の「自分らしさ」も尊重する

 年次が一番上でリーダー格の先輩Aさんは、事前に仕事の情報を知らされないと不機嫌になるタイプでした。Bさんは大枠だけ業務の内容を示したら、後は自分なりのやり方で自由に仕事を進めたいタイプでした。

まっつん
まっつん

山本課長に「その点を意識して2人に接していますか」と尋ねると、答えはノーでした。「課長になったのだから堂々と指示命令すれば良い、部下になめられてはいけない」とステレオタイプなリーダー論の罠にはまり肩に力が入りすぎていたのです。

 部長からも「例え先輩でも、命令する時は、強気でいけ」と指導されていたこともよくありませんでした。

 そこで、この2人と仕事をする際には、2人が大切にしている前述の点を外さないように意識を強めてもらうようにお願いをしました。すると、以前のような険悪な職場の雰囲気は徐々に和らいでいったのです。

誰にも「これをされたら許せない」ツボがある

 人には「これをされたら許せない」という仕事をするうえで大切にしているツボがあります。そのツボは、性格上の「心のパターン」「心の習慣」に起因しているケースが多いのです。

 「これをされたら許せない」というツボを、私は「地雷」と呼んでいますが、この「地雷」を知らず知らずのうちに踏んで爆発させているので、険悪な関係になってしまうのです。

 ですから、上司には、部下ひとりひとりの「仕事の進め方」に関するツボを把握することが求められるのです。リーダー論では「部下を尊重する」と抽象的な表現で語られますが、具体的な行動レベルまで落として込むことで、それは効果を発揮します。

 もちろん、堂々と指示命令することも上司にとって大事なことです。

 でも、権威ぶった行動は山本課長には不自然であり、「自分らしさ」を押し殺すことになっていまいした。「オーセンティック・リーダーシップ」になっていなかったのです。一見、なよっとした感じのする山本課長でしたが、他人を洞察するその繊細さは自信をもってよい「強み」でした。

 山本課長は、自己理解を深め、自分の「強み」を信頼できるようになることで、自分らしいリーダーシップを発見し、リーダーとしてステップ・アップしていったのです。


事例2:組織変革が暗礁に乗り上げる

 地方にある創業50年を超えた大手スーパーは、2代目の社長が就任したのを機に組織の風土改革を推し進めていました。

 各部署から30代の若手社員を中心に社長直轄のプロジェクトチームが結成され、そのチームを率いるリーダーに営業部の高橋主任(仮名)が任命されました。メンバーは残業を厭わず夜遅くまで議論をし、社史を持ち出してきて企業理念を再検証したり、行動指針を作成したり、順調な滑り出しを見せていました。

 ところが、チーム・メンバー間で微妙な温度差が生まれ、プロジェクトの進め方に不満を漏らす社員が現れるようになりました。

長所は短所にもなる。

 高橋主任の性格は明るく、人前で話すことに物おじしない人物です。「何事も改善を重ねることが大切だ」と熱く語る、向上心、変革意欲の強い人材でした。ですので、組織変革をすすめるリーダーに抜擢されたのです。

 当初、私との個人セッションでは「リーダーに選ばれてやりがいがあります」と、変革チームを率いている自分に強い充実感を覚えていました。

 高橋主任の性格分析(エゴグラム)の結果は、原理原則や規則を重んじる「父性」のポイトが高く出ました。「仲間を信頼することが大事です」とリーダーとしての模範解答を何度も口にするのですが、言葉の端々に「うちの社員は思ったよりやりますよ!」と、どこか同僚を見下す発言が聞かれるようになっていました。

 ある日、変革チームは、他の社員を交えたオープンな勉強会を開きました。勉強会が終了すると、高橋主任に対してクレームが噴出します。「みんなのためを思ってしたのに」と高橋さんは、私の前で困惑の表情を見せました。

 勉強会をどのように開催したのか。

 その行動をトレースしてみると、開催告知を一週間前にしていました。一週間前ではスケジュール調整をするのが大変です。高橋主任は「それでも社員は来るのか試してみたかった」といいます。

仲間を見下していた自分に気づく。

 私が「高橋さんは仲間を信頼せず、試すのですか」と尋ねると、むっとした顔を見せました。その後のセッションを通して、高橋主任は、「仲間を一番信頼していないのは自分であり、何でもかんでもひとりでやろうとし過ぎていた」と、自分の改善点に気づいていきました。

 長所と短所は表裏一体ですね。「父性」が悪く出ると、相手を支配しようとして威圧的になります。私は高橋主任のリーダーシップ・スタイルのよさを再確認してもらいました。

 実は高橋主任は、母性のポイントも高かったのです。

 原理原則を曲げず抵抗勢力に負けない「父性」も大事ですが、チーム・メンバーに温かい言葉をかけるような「母性」も大事です。高橋主任は、自分のよさを見直し、リーダーとして母性の部分を意識しながら、サブ・リーダーと協調しつつチームをまとめ、変革を推進していきました。

 父性と母性のバランスをとっていくことは、リーダーシップ理論の「PM理論」として有名です。

 成果を出そうと気負い過ぎていた高橋主任は「自分らしいリーダーシップ」を忘れかけていました。ですがが、性格検査を通して、自分の「強み」を再認識することで、「オーセンティック・リーダーシップ」を発揮するようになっていったのです。

「自分らしいリーダーシップ」を発揮するのに大切なこと

 リーダーシップは社会心理学では「影響力」と定義されます。リーダーがビジョンを示し、人に影響与え動かし、目標を達成していく。そのプロセス全体がリーダーシップです。

リーダーシップの源泉は「地位」と「人間性」。

 リーダーとしての「影響力」の源泉は二つあります。「地位」と「人間性」です。

リーダーシップの源泉
  1. 「地位」:組織上のポジションに与えられている権限で命令を下し、人に影響を与える。
  2. 「人間性」:生まれもった人間としての特性で、人に影響を与える。

 「人間性」を辞書でひくと、「人間特有の本性。人間として生まれつきそなえている性質。人間らしさ」とあります。つまり「自分らしさ」に基づく行動が、その人の「人間性」を発揮することになるのです。

 職場における「リーダーシップの源泉」はこの2つで構成されます。

 「俺は課長だぞ」「私は取締役だぞ」とポジションをちらつかせて人を動かすのではなく、「あの人が言うなら仕方ないか、さあ、がんばろう!」と、部下に思わせるような「人間性」「自分らしさ」で影響を与えるリーダーシップを発揮したいものです。

 影響力の発信基地は、自分自身ですね。この自分という基地の「強み・弱み」を理解し把握していれば、効果的な「自分らしいリーダーシップ」を発揮できるようになります。

 坂本竜馬や西郷隆盛など、また偉大な経営者、例えば松下幸之助や本田宗一郎など、歴史上の偉人を真似しようとするリーダーシップは、普通免許で大型特殊クレーンを運転するようなものです。

まっつん
まっつん

過去の偉人たちから学ぶことを否定しているのでありません。むしろ、大いに歴史に学ぶべきです。ただ、遠い存在である「偉人の偉大さ」に注意を向けるより、「自分らしさ」という「自分の偉大さ」に、まず気づいてもらいたいのです。

「自分は何者か」「どんな性格なのか」「強み・弱みは何か」「何を大切にして生きているのか」。自分なりの哲学、信条、信念、価値観、性格、人間性など、自分を深く深く掘りさげていくと、そこにぶれない「軸」があることに気づきます。この「自分軸」を太くしていくことこそが、あなたのリーダーシップを強化していきます。

 MBAで語られるような難しい知識など必要ありません。リーダーシップとは外から何かを取り入れることではなく、内に秘めている力を解放することです。そのために、自分としっかりと向き合う勇気と時間が必要です。

優れた上司は、他人に頼れる人。

 自分軸が明確になれば自然と他人に頼ることができます。

 リーダーが孤立するケースとして、威厳にこだわり過ぎて、他の誰かに素直に助けを求められなくなることが多いのです。人に頼ることは「甘えである」とか、「弱い人間のすることだ」という固定観念が、リーダーになると頭をもたげます。

 しかし、真に自立している大人だからこそ、人は、自然と他人に頼れるのです。

 リーダーシップという概念は欧米から輸入されました。欧米は「個の強さ」を求める文化的背景があります。よって、リーダーシップという言葉は「個人の強さ」を想起させます。しかし、「強さ」に焦点をあてるリーダーシップは日本人にはそぐわないのです。

 リーダーとして自分にできないことは、堂々と他人を頼る。そんな信条をもつ二人三脚型のリーダーシップ・スタイルを「デュオ・リーダーシップ」と呼び、私はリーダー層にすすめています。

 上司は、「自分らしさ」を発揮するのと同時に、他人の「その人らしさ」を尊重しようとするわけですが、他人を尊重するとは、他人を信頼し「頼る」ということです。

 部長と課長、課長と係長、係長と主任、互いの性格や能力の違いを見極め二人で75点ぐらいのリーダーシップを発揮すればよいのです。事例で取り上げた二人のリーダーも、自分を理解し、最後は他人に頼ることで窮地を抜け出していきました。

 カリスマ・リーダーになんてならくていい。完璧なリーダーなんていません。人は完璧でないからこそ、自分の至らない点や他者へ貢献できる自分の強みを把握し、他人とともに「自分らしい」リーダーシップを発揮できるのです。

リーダーシップとは、自分を知ることに始まり、自分を知ることに終わる。 

 (文:松山淳)


仕事に疲れた君へ贈る元気の出る言葉』YouTube!