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「スターウォーズ」に学ぶマインドフルネス

「スターウォーズ」に学ぶマインドフルネス

「マインドフルネス」とは?

 グーグル、ツイッター、フェイスブック、アップルなど、米国の先端企業が研修の場で「マインドフルネス瞑想」を実践しています。日本企業では「ヤフー・ジャパン」の取り組みが、メディアでよく取り上げられています。

 「メンタルが強くなる」「創造性が高まる」「チームワークが向上する」など、様々な効果が見られ、日本でも注目が高まっています。

『グーグルのマインドフルネス革命』(サンガ編集部)
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 『グーグルのマインドフルネス革命』(サンガ編集部)では、次の効果が記されています。

マインドフルネスの効果
  1. ストレスが軽減され、仕事の生産性があがる
  2. 感情のコントロールができるようになり、感情的な判断ミスをしなくなる。
  3. 思いやりの気持ちが育ち、チームワークが向上する。
  4. アイディアが湧く脳になり、創造力が高まる。
『グーグルのマインドフルネス革命』(サンガ編集部)p14-15

 マインドフルネスとは、「今・ここ」この瞬間の自分に気づき、思いやりに満ちている心です。

こうした心のあり方を育むために、主として瞑想に取り組みます。

まっつん
まっつん

 私が「マインドフルネス瞑想」に通じる「自律訓練法」に出会ったのは15歳の時です。以来、30年以上、様々な瞑想法を体験し、その効果を実感してきました。

 リーダー研修では瞑想を取り入れ、大学における「リーダーシップ」の授業でもマインドフルネス瞑想を学生に実践してもらっていました。課題レポートでは、多くの学生がマインドフルネスについて好意的な評価をしていました。

 マインドフルネスの原点には仏教があります。仏教の話だけでは抵抗感を覚える人もいますので、「マインドフルネス」を楽しく理解するために、幅広い世代に支持される『スター・ウォーズ』(© Disney)の名言を紹介しながら解説をしてみたいと思います。


とにかくやる。

「the empire strikes back logo」
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george lucas

 『スター・ウォーズ』では、ヨーダ、オビ=ワン、ルークなどのジェダイ(ライトサイド)とダースベイダーに代表されるシス(ダークサイド)との戦いが描かれています。

 エピソード5では、ダゴバ星に隠棲していたヨーダが、主人公ルークを善きジェダイに育てようと厳しく鍛えます。修行がうまく進まず、ふてくされ気味に「ためしてみます」と答えるルーク。ヨーダが語気を強めて諭します。

「違う!やるか、やらぬかだ。ためしなどいらん。」

(No! Try not. Do. Or do not. There is no try.)

『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』(© Disney)

  禅の教えに「只管打坐」があります。悟りをひらくためには、頭であれこれ考えず、ただひたすら座禅(瞑想)に取り組むことが大事であり、そのことを勧める言葉です。

効果を期待し過ぎない。

 「マイドフルネス」でも瞑想が主たるメソッドです。背筋を伸ばし呼吸に意識を向け10分間静かに座るだけでも、頭がすっきりしたり気持ちが軽くなったりします。

 それを毎日続けていくことで、瞑想の深い効果を実感できるようになります。「創造性を高めるんだ」などとあまり力まず、効果を期待し過ぎず、ヨーダが言うように、とにかく「やる」ことが大切です。

 なぜならば、効果を期待すると、それが「執着」となって瞑想の深まりを妨げてしまうからです。

 瞑想の効果は、ある時ふと気づくものです。ひたすら「やる」のみです。


3つのマインドフルネス瞑想

 「マインドフルネス瞑想」の手法は様々ですが、私は次の3つのタイプから構成されていると考えています。

3つのマインドフルネス
  1. フォーカス・アテンション瞑想
    言葉を唱えるなどして雑念を振り払う。
  2. オープン・モニタリング瞑想(狭義のマインドフル瞑想)
    呼吸や身体感覚に意識を向けて「集中」と「気づき」の感覚を高める。
  3. 慈悲と慈愛の瞑想
    自分、他者、生きとし生けるものの幸せを願い思いやの心を育む。

フォーカス・アテンション瞑想

 「フォーカス・アテンション瞑想」では、ひとつの言葉(マントラ、数字)をひたすら唱え続け雑念を振り払い、高度な集中状態を目指します。

 例えば、瞑想中に自分の息を「1から100まで数える」のもフォーカス・アテンション瞑想です。やってみるとわかるのですが、ゆっくりと、順番に数えていくと、途中で「雑念」が入ってきて、「あれ、いくつまで数えたかな」とわからなくなります。

 この雑念が瞑想の深まりを邪魔するので、できる限り「数えること」に意識を集中して、雑念が入ってこないようにします。

オープン・モニタリング瞑想

 「オープン・モニタリング瞑想」が、狭義のマインドフル瞑想です。「今、ここ」で起きている自分の感覚、感情、思考にひとつひとつ気づいていきながら意識を深めていきます。

 例えば、「ボディ・スキャン」という手法があります。足、手、腕、頭など、体の各部に意識を向けて、どんな状態であるかをひとつひとつ丁寧にゆっくりと、認識していきます。

 そうした自分に自身に対する丁寧な「気づき」を通して、現実に対するより繊細な感覚を磨いていきます。

慈悲と慈愛の瞑想

 「慈悲と慈愛の瞑想」は、「自分」から始めて、「自分の親しい人」、さらに「ご縁のある人」などと、範囲を拡大していき、より多くの人を幸せを願うものです。「〜さんが幸せでありますように」「全ての人が幸福であるように」と他者の幸せを願い、「慈しみの心」を抱きながら行う瞑想です。

 これも様々な文言がありますが、シンプルなものを記しておきます。

慈悲と慈愛の瞑想
私が幸せでありますように。
私の悩み苦しみが無くなりますように。
 
私の親しい人々が幸せでありますように。
私の親しい人々の悩み苦しみが無くなりますように。
 
生きとし生けるものが幸せでありますように。
生きとし生けるものの悩み苦しみが無くなりますように。

 この言葉を唱えながら瞑想をすることで「思いやり」「利他の精神」を育みます。これは、よりよいチームワークを形成する時の大事なマインドセットです。

現実の解釈を変える「ラベリング」

 「オープン・モニタリング瞑想」を行うと、「気づく」ことに意識を向けるため、雑念に支配される時間が長くなりがちです。それを避けるために、五感でとらえた「事実」をよりシンプルな概念に置き換えていきます。

 例えば、研修で瞑想を始めると、近くに座る人の咳払いや鼻をすする音が不快で集中できなくなることがあります。

ラベリングとは

 この時に、耳に届くものは全てが「音」に過ぎない、と認知を変えていきます。鼻をすする音が「不快だ」と感じる人もいれば、別に気にならない人もいます。もし、気になって瞑想に集中できないとしたら、「鼻をすする音は不快だ」という自分自身の「解釈」がそうさせているのです。

現実とはその人の解釈によって良くもなり、悪くもなる。

 鼻をすする音は、「不快な音」かもしれませんが、それは同時に「音」という認識の仕方もできます。

⭐️「不快な音」→「音」

 「不快な音」を、ただの「音」だと認識できれば、不快感は減っていきます。そこで、不快な気持ちになったら「音」と心の中で唱えて、解釈を変えるように努力をします。

 「不快な音」をただの「音」と認識するように、「今・ここ」の現実をとらえ直すために、ある言葉を胸の内で唱える手法「ラベリング」と言います。ラベリングとは、認知の変容を起こす瞑想のスキルです。

瞑想中に嫌な出来事を思い出したら…。

 瞑想中に、嫌いな人のことや仕事の失敗など、思い出したくないことを思い出してしまい、心の乱れることがあります。「嫌な思い出」は、それがどれだけひどい嫌なものであっても、自分の脳内で神経細胞が作り出した「思考」に過ぎません。ただの「思考」「雑念」です。

⭐️「嫌な思い出」→「思考」「雑念」

 「嫌な思い出」も「お腹がすいた」「お酒が飲みたい」「早く帰りたい」など、瞑想を邪魔する「強い欲求」も、全てが「雑念」であり、ただの「思考」です。

 本来であれば、鼻を出入りする呼吸に集中すべきなのに、雑念に心を支配されていて、そのことに「ふっと気付いたら」、「思考」あるいは「雑念」と唱えて(ラベリングして)、また呼吸に意識を戻していきます。

 こうして「今・ここ」にできる限り「集中」し、同時に、自分の思考、感情、身体感覚に「気づき」を得ていくのが、マインドフル瞑想の特徴となります。

「集中」と「気づき」が、マインドフル瞑想のキー・コンセプトです。

ルークの師「オビ=ワン」の名言

 オビ=ワンは、ルークの父親がダースベイダーであることを隠していました。ルークは、ヨーダからその真実を告げられます。霊体となって現れたオビ=ワンにルークが問いただすと、こんな言葉が返ってきました。

 我々が考える真実のほとんどは自分の見方で変化する。

(Luke, you’re going to find that many of the truths we cling to depend greatly on our own point of view.)

『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還』(© Disney)

 このセリフは、「マインドフル瞑想」の真髄といえます。現実は自分の解釈次第です。解釈によって自分を良くも悪くもできるのです。

まっつん
まっつん

 会社で嫌なことを言われれば、腹が立ったり、悲しかったり、悔しかったり、感情が乱れます。それは、言葉の意味をとらえて解釈するからです。でも、耳から入ってくる人の言葉も「音」です。「音」だと思えば、心の乱れを抑えることができます。

 もし、メールやラインでSNSで、「嫌なこと」を書かかれて、嫌な気持ちになったら、「文字」「情報」とラベリングするのです。その「嫌なこと」も、よーく見ると、ただ「文字」が並んでいるだけです。

 そんな風に、自分に起きている「今・ここ」の現実のとらえ直して、安定したマインドをつくりあげていくことができます。

 その土台になる「心」を、マインドフルネス瞑想で育てていくことができるのです。

現実の解釈を変える「ラベリング」

 グーグルが生産性の高いチームの特徴として、チームメンバーの「心理的安全性」(psychological safety)の高さを指摘し、話題になっています。

 職場で心理的に安全であるとは、要は「恐れ」が少ない心理状態を意味します。「これを言ったらバカにされるかも」「どうせまた怒られるから企画出すのやめとこ」。「恐れ」からチーム力は劣化していきます。

ルークの師「オビ=ワン」の名言

Puppet character Yoda, as depicted in The Empire Strikes Back.
Puppet character Yoda, as depicted in The Empire Strikes Back.Source (WP:NFCC#4)

 ヨーダに、こんなセリフがあります。

恐れはダークサイドに通じる。恐れは怒りに、怒りは憎しみに、憎しみは苦痛へ。

(Fear is the path to the dark side. Fear leads to anger. Anger leads to hate. Hate leads to suffering.)

『スター・ウォーズ エピソード1/ファントムメナス』(© Disney)

 企業組織に発生する問題の根幹には、社員の抱く「恐れ」が作用しています。「人間関係の恐れ」「失敗の恐れ」「変革の恐れ」。それらの「恐れ」があるから、人は時にダークサイドに落ちて問題を招く行動をとります。

 組織に根付く「恐れ」を少しでも減らしていくためには、互いに助け合う「思いやり」に満ちたマインドが欠かせません。

 「恐れ」に対するワクチンは「思いやりの心」であり、それは、「慈悲と慈愛の瞑想」で育むことができます。

 今、マインドフルネス瞑想が、様々な企業で実践されるのは、ただの「精神論」ではなく、組織の生産性を高める合理的な意思決定の結果といえます。

 日本企業では、瞑想に抵抗感を持つ人がまだまだいます。そこで、1日〜2日の研修プログラムにおけるコンテツのひとつに位置づけたり、グーグルやツイッターの取り組みに好感を抱く次世代リーダー層を対象とした研修に導入したりすることが有効です。

 医学・脳科学の発達により、研究がますます進展して、瞑想が人の心に好影響を与える科学的根拠がそろってきています。もう、ただの精神論ではありません。

 マインドフルネスの考えが浸透し実践、継続されていけば、「思いやり」に満ちた社員が増え、結果、「働きやすい職場」が、この国にますます増えていくことでしょう。

(文:松山淳)


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