反抗的な部下の心を開く質問

第6章-2 反抗する部下は「困っている」のかもしれない

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まっつん

 実務教育出版社のご厚意で、拙著『上司という仕事のつとめ方』の一部を公開いたします!

第6章-2 反抗する部下は「困っている」のかもしれない

反抗的な部下を持つ上司の苦悩

 入社三年目のYさん(20代 女性)は、仕事で壁にぶつかり、上司であるT主任(30代 男性)に、喰ってかかることが多くなりました。

 T主任は、短気なタイプで、

 「また今日もイライラしてるのかよ。なんとかならないの、それ」

と本音をぶつけます。

 「すみません。これが私の地なので、辛抱してもらえませんか」

と、Yさんも負けていません。

 周囲の人たちは、「また始まったか」と思いながら、対岸の火事を決めてこんでいましたが、部下であるYさんの態度も行き過ぎではないかと思い始め、T主任を応援することが多くなりました。

 そんな雰囲気を察し、Yさんはあまり口をきかない部下になってしまったのです。T主任は、Yさんのことで頭の痛い日々が続いています。

反抗的な態度での「怒り」は自己防衛

 よく聞く話ですね。気の強い者同士の上司と部下の組み合わせだと、とかく起こりがちなことです。こんな事態に陥ってしまったとき、部下の怒りの根底には何が隠されているのかを考えてみてください。

怒りは、自分の正当性を証明するために使われることがあります。

 自らの正しさを証明しようと精神を費やし続けると、怒りが習慣化してしまいます。いつも、イライラしている状態になります。これは、恐いことです。

 では、Yさんは、T主任に怒りをぶつけることで、何を証明しようとしているのでしょうか。それは、仕事で壁にぶつかっているのは、「自分のせいではない」という思い込みです。

 仕事ができていない自分を受け入れることができなくて、無力な自分は自分の責任ではないことを証明しようとしているのです。簡単に言うと、「T主任が悪いんだ」と言いたいわけです。

 できていない自分を認めてしまうことは、自分を傷つけることになります。そうならないために、怒りを自己防衛に使っているのです。これでは、T主任が目の前にいる限り、いつまでたっても怒りが消えません。

ただ、Yさんだって心の底では、「このままの自分ではだめだ」とわかっているはずです。これまでT主任を頼り依存してきたけれども、新しい自分になって自立しなければならない時期がきていると理解しているのです。でも、一人でやっていくことが恐いのですね。

すると、Yさんは自立する恐怖心を紛らわそうと、怒りの感情をあらわにすることで自立の準備をしていると考えられます。

「すみません。まだ、未熟なのです、もうちょっと待ってください」

と、T主任にお願いをしているのです。反抗しながら、頭を下げているのです。その矛盾を心におさめきれないので、イライラしたり、むしゃくしゃしたりしているのです。

反抗する部下は、実は困っている!?

 反抗的な部下に困っている人も多いと思います。でも、実は、心の底で助けを求めているのかもしれないと思って、部下を見てください。すると、あなたの色眼鏡が取れて、

「部下は怒っているのではなく、困っている」

のだということが、理解できます。

 部下の反抗心が高まっているときには、「どうしてできなんだ」「できない理由はなんだ」とやたらに詰問してしまいがちですが、それは、逆効果です。熟れていないトマトをもいで、にぎりつぶすようなものです。部下はつぶれますし、あなたの手も汚れます。

反抗的な部下の心を開く質問

 だから、タイミングをみて、じっくりと、ゆっくりと話せる時間を持つことが大事です。なぜなら、本人も混乱してしまって、どうして反抗したくなるのか自分でも理解できないでいることが多いからです。

だから、「なぜ、できないのか?」と問うのではなく、

「仕事のことで何か困っていることはないか?」
「もし、困っていることがあれば、俺(私)にできることはないか?」

と、サーバント・リーダーシップの精神で粘り強く接してみてください。それが、部下の心を開くきっかけに繋がります。

 「反抗」に対して「反抗」で向かっていくと、事態は悪化するばかりです。

 ちょっと違う見方で部下を眺めて、いつもと違う言葉をかけてみてください。すぐに結果は出ませんが、ゆっくりと部下の心が変わっていくと思います。

(著:松山 淳)

上司の自問自答
1. 私は、部下の怒りに翻弄されていないだろうか。

2. 私は、怒りの裏には「助けてほしい」というメッセージが込められていることを理解できているだろうか。

3. 私は、自分の怒りをコントロールできているだろうか。


『「上司」という仕事のつとめ方』
(著:松山淳 実務教育出版)
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